第45話 完成&「シロの回。冒険?1」

1週間後。

クロの取り込み作業が完了。

早速パソコンに集計をさせる。


あれ? 今更思ったけど、これって完成したらどうすれば良いのかな?

王都にあるお城まで持って行く?

それとも街にあるギルドに持って行けばOK?


あっ! あの男爵イモに渡せば良かったのか!

……怪我もさせられたし、街で待機なんかしてないだろうなぁ。


よし、ギルドに任せよう。

そうしよう。




って事で、完成品をシロに渡す。


「これが王様から依頼された物の完成品だ。ギルドマスターにでも渡してくれ」

「判りました」

「あっ、今回は頼むんだからな? こっちがお願いする立場だって事を忘れずに」

「大丈夫です」

「よし! じゃあ頼んだぞ!」





『シロの回。冒険?1』


主に頼まれた書類を持って街へ行きます。

いつもの様に外壁に開けた穴から街の中へ。

そのままギルドに向かいます。


「こんにちは、シャティさん。ギルドマスターは居ますか?」

「はい。こちらへどうぞ」

「ありがとうございます」


すぐにギルドマスターの部屋へ通されました。

でもギルドマスターは書類を見ながら唸っています。


「ちょっと良いですか?」

「……う~ん、こっちが売掛でこっちが…………難しい。ん? おお! シロさん!」

「どうしました?」

「いやぁ、君の主の会計の仕方を見習ってやってみてるんだけどさ、難しくて。

 何かコツとかあるのかな? 知らない?」

「私は知りませんね。主に聞いた方が早いと思いますよ」

「やっぱりそうか~。よし、今度今年の分を持っていくから、その時に少しご教授してもらおう!」

「納得されたようで、良かったです。

 ところで、私の要件なんですが」

「おっとすまなかったね。何だい?」

「国の会計が出来たので持ってきました。

 王様に渡して下さい」

「……へ?」

「王様へ渡して下さい」


そう言いながら、完成した書類の入っているファイルをギルドマスターに渡します。

……受け取りませんね。


「……あのね、そういうのはさすがに受け取れないよ?」

「主がギルドマスターに渡せと言われたので。受け取って下さい」

「いやいや! 国家機密だって! 俺みたいな一市民が受け取るような物じゃないよ!」

「そのまま城へ運んでもらうだけです」

「道中で不備があったら?! そもそも受け取って貰えなかったら? 

俺の責任になるって! 物理的に首が飛ぶよ?! マジで!!」

「受け取ってもらえないとは?」

「それ、陛下から頼まれた物だろ? そう聞いてるよ?

 で、持って来た使者をボコったよね? 運ばれてきた時にはかなり焦ったんだから!

 その使者は帰ったんだけど、多分受け取るのもその人になると思う。

 仕返しの為に受け取らないとか、ありえるからね?

 あっ、受け取っておいて、受け取ってないとか言うかも」

「では直接王様に渡して下さい」

「だーかーらー! 俺にそんな権限は無いって!

 ギルドの本拠地が王都にあるけど、そこのトップだって無理だよ?!」


ふむ。色々と問題があるようです。主に人関係で。

困りましたね。無理を言ってはいけないと主にも言われてますし。


「ではこうしましょう。私と一緒に城まで行きましょう」

「え? ……どういう事?」

「私だけでも良いのですが、城までの道のりが判りません。

 一緒に行って教えて下さい」

「あっ、そういう事ね。…………判った。それくらいなら引き受けよう。

 って、俺じゃないとダメなの?」

「誰でも良いですが、信用出来る人でないと困ります。

 その王都のギルドにも寄らないといけないでしょう?」

「そうだね。さすがに王都に行っておいて、スルーしたらダメだ。

 それに陛下からの仕事を間接的にでも受けた事を報告しなきゃな」

「ではお願いします」

「判った。2人……俺とシロさんなら馬で良いかな?」

「馬? 馬をどうするのです?」

「え? 俺が乗って、前か後ろにシロさんが乗って……」

「不要です。遅いですし。私が走ります」

「……えっと、俺も走るの?!」

「貴方は私が運びます」


運ぶ方法はちゃんと考えてあります。

大丈夫です。森の狼で実践済みですから。

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