第44話 国からの使者
城からやって来た使者。
見た目は文官って感じ。
と言っても勝手にそう思ってるだけで、実は武官かもしれないけど。
で、それの護衛だと思うけど、革の鎧を着たのが5人。
手には槍や剣を持っている。
そして誰も結界を通れない……。
だから手に武器を持ってるんだけどさ。
さっきから結界をバシバシ叩いてる。
王様から聞かなかったのだろうか?
鬱陶しいので要件を済まして帰ってもらおう。
出るのも面倒なので、いつもの様にインターホンで会話だ。
「何の用です?」
「城からの使者だと言っておるだろうが! ここを通せ!」
「王様から聞いてると思いますが、害意がある者は通れないようになってるんですよ」
「私達が害をなすと言うのか! 無礼だぞ! 顔を出せ!」
「害意がある人の前には出れませんよ」
「無いと言ってるだろうが! 私の言葉が信用出来ないと言うのか?!
私はテポラ男爵だぞ?!」
「爵位は関係ありませんよ。
結界は自動判別ですので、俺が許可しても害意がある内は通れません。
その場で要件をどうぞ」
まぁ、どう見ても害意アリアリだけどな。
逆に無い方がビックリだよ。
普通、他人の家に来て、入れないからって武器で叩かないだろ?
貴族なら許されるのかもしれないけどさ。
この国の法律知らないから、何とも言えない。
少なくとも無礼なのはあっちだと思う。
「陛下から荷を預かってきたのだ! 受け取れ! そして出てこい! 謝罪しろ!」
「あ~、判りました。ちょっと待っててください」
「おい! 待……」
切ってやった。
うるさいからね。
「シロ~」
「はい」
「王様から荷物だってさ。多分会計の書類だと思う。
結界を通れないそうだから、受け取ってきて」
「判りました」
……クロの方が良かったか?
結界を通れないって言った辺りで、一瞬シロの目が細くなった気がするんだよなぁ。
…………ま、シロの事だ。上手くやるだろ!
確かに上手くヤりました。
綺麗に相手の膝を折ってたわ。
ヒザカックンをされたみたいに、全員が倒れていったもん。
遠目から見てただけだけど、多分シロを怒らすような事を言ったんだろうなぁ。
で、今シロは、相手の荷物を漁っている。
俺に渡す目的の物を探してるんだろう。
物取りにしか見えないけど。
いや、違うな。外見から、エサを探してるように見えるわ。
どうやら目的の物を発見したようだ。
どうするのかと思ってたら、森から犬?狼?が10匹くらい出てきた。
そしてシロの前で全頭がお座り。
シロが首を振っただけで、狼?達は使者達を咥えてそのまま引きずりながら街の方へ向かって歩いていった。
ビックリしたぜ。
食わせるのかと思った。
そしてシロよ、いつの間に下僕を作ったのかな?
犬?狼?を従わせている猫ってどうなんだろう?
シロが持って帰ってきた書類は、予想通り会計の物だった。
はい、クロさん、お仕事です。
クロは楽しそうに、取り込みを始めた。
後は任せておけば良いだろ。
それよりもポテト男爵だったか? 無事街まで帰れたかなぁ……。
道中で食われてない事を祈ろう。
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