第43話 天才

それから2週間、何も無い日々が続いた。


いや、シロとクロの天才っぷりが判った日々だったな。


まずはシロ。

狩りの最中に、シープバードと呼ばれている鳥に襲われたらしい。

その鳥、名前の通り泥棒。人が狩った獲物を空から急襲して横取りする習性だそうな。

たまたまアイテムボックスに入れようと触れてた時に来たんだって。

そしたら、獲物ごと結界が発動してシープバードは横取りに失敗。

それどころか、硬い結界とぶつかった事で瀕死。そのままシロに狩られた。


その状況を見て、結界は任意で広げられるのでは?と考えたらしい。

それを家に帰ってきて実践。

物置から釣具を出してきた。あったっけ?そんな物。

釣り糸を門扉に結び、そのまま釣り糸が巻いてある物をコロコロ。

あっ、楽しくなってきてペシペシが早くなってきたな。

……お~い、何処まで行くんだ?


途中で我に戻ったのか、慌てて戻ってきた。

その状態で俺の航空写真を確認。

すると釣り糸を引いている所にも結界が!

航空写真も広がっていた。


便利! と思ったけど、やっぱり問題点も。

俺のスキルに「神の結界(MAX)『注:1分につきMP2使用』」ってのがあるんだが。

広げた状態だと『注:1分につきMP4使用』となっていた。

枯渇する可能性があるので、慌てて回収したけど。

これをやるにはレベル上げをしてMPを増やさなくては。



そう、レベル上げ。

これもシロが検証した。

経験値は見えないが、ラノベを読んで公開されてないだけで存在すると仮定したらしい。

その日からギルドの依頼は受けずに同型のモンスターばかりを狩ったらしい。


狙いは2つ。

レベルが上がっても、同型を狩っても経験値が入るのか。

強くなったらザコを殺しても貰えないゲームがあったな。それの検証。


もう1つはパーティーの仕組み。

シロが倒したモンスターの経験値は俺やクロにも入るのか。

当然クロには討伐を禁止してた。

クロからはブーイングがあったが、俺がネットで買ったおもちゃで許してくれた。

今は庭でおもちゃ相手に戦ってる。


この結果。

1.ザコを倒しても経験値は手に入る。

2.俺達にも経験値は配分される。

この2点が判明。


お蔭で俺はレベルが6になった。

なので、シロには積極的に狩りをしてもらい、レベルアップをお願いしている。

寄生? おんぶに抱っこ?

ははは、好きに言えよ。……ヒモは止めろ!



さて、クロなんだが。

こいつは閃きが天才。


骨の形をしたガムと呼ばれる歯磨きが出来るものを与えたんだけど。

いつの間にか無くなってたんだよな。

無くしたのかと聞いたら。


「あるよ~。アイテムボックスに入れてるの!」


との返事。

そして次の瞬間、咥えてた。

どうやらアイテムボックスから取り出すのに、手元ではなく直接口に出したらしい。

これの応用で、固形餌のおやつを仕舞っておいて食べたい時に口の中に出すという技を使いだした。

水を飲むのも同じ方法。口の中に、少量の水を直接出すのだ。


ラノベの主人公も、俺が読んだ中にこんな使い方をするやつは居なかった。

せいぜいアイテムボックスがバレないように、ポケットの中に出すくらいだったわ。


口の中に直接出す。

簡単な事だが、思いつかなかった。

コロンブスの卵ってやつかな。


ま、俺のスキルにはアイテムボックスが無いので、知っても意味無いけどな……。



俺のステータスで思い出したが、また神の評価が増えてた。


『神の評価:出不精・横着者・交渉人・CEO・クレーマー・詐欺師・ブリーダー・賢者(笑)・大嘘つき』


嘘つきってのは判るよ。王様相手でもウソ言ってるからね。

だが、『賢者(笑)』は許せん!

絶対に文句を言ってやる!




そんな感じの2週間。

そして今日。

城から使者がやってきた。

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