第42話 宴会
結局あの後は宴会となった。
と言っても、参加者は俺と王様、そしてシロクロの4人(2人と2匹?)。
外に居る2人は可哀想だが入れないので不参加。
王様がベランダから叫んでたので、大丈夫だと思う。
だが「今から宴会だもんね~! お前らはお預け! 街に帰ってクソして寝てろ!」って言うのはどうかと。
色々とストレスが溜まってるのだろう。優しくしてあげよう。
俺でも滅多に飲まない高級なワインを出してあげた。
結果、リビングで雑魚寝してしまった。
シロは……あぁ、時間的にもうギルドに向かったか。
クロは……庭を走り回ってるな。
王様は……高級ワインの空瓶を抱いて寝ている。本当に王様か?
王様を叩き起こして、軽く朝飯。
お互い二日酔いだったので、お茶漬けにした。冷食バンザイ。
「はいこれ」
「何だ、これは?」
「二日酔いの薬。飲んで休んでれば治るから」
「何と! 薬学まで身に付けているのか!」
違います。市販品です。
ほら、黄色い箱に入ってるだろ。
言わないけどさ。
んん? よく考えたら、俺は何故異世界人って何で公表してないんだろ?
別に言った所で問題は無いはず。
ラノベでは知られる事で騒動になったりするけど、俺の場合は結界があるし。
……自問自答だけど、理由は簡単だわ。
説明が面倒だから。これに尽きる。
神様とかの説明から始まり、来た経緯、文明の説明、結界等の仕組み、など。
説明しなきゃいけない事が多すぎる。
それにきっと質問攻めにもされるだろうし。
まだ賢者って事にしといた方が楽だ。
ま、後にバレても「言ってなかったっけ?」としらばっくれればOKだろう。
うん。そうしよう。
……薬を渡して飲ませてから気づいた。
この世界は俺の知らないウイルスが居たね。
二日酔いの薬が効くのか? 逆に毒になったりしないよな?
いざとなったら110番じゃなくて、神に電話だ!
「どう? 効いてきた?」
「……素晴らしい! 辛かった二日酔いがあっという間に完治だ!」
「あっ、そうなの?」
「……もしかして人体実験に使ったか?」
「ソンナコトハナイヨ?」
「使っただろ?!」
「違うわ! 飲ませてからあれっ?って思っただけだわ!」
「どっちにしろ問題ではないか!」
「効いたんだから、文句言うな! ってか疑い無く飲むな!」
「開き直りか?!」
「うるさい! 俺も飲んだの見てたろ! アレが効いてるから大丈夫だよ!」
王様とも打ち解けたわ。
殴り合いになる寸前まで言い争いが出来るほどに。
酒も冷食も問題無かったんだから、薬も大丈夫ですよ。きっと。多分。そうだといいな。
言い争ってると、外に昨日の2人が迎えに来た。
「ちっ、迎えが来たか。じゃあ帰る」
「おう、帰れ帰れ」
「ふん。後日書類は届けさせるからな。ちゃんと纏めろよ」
「おう、やっておくわ。速すぎて文句言うなよ」
上機嫌で王様は帰って行った。
なかなかの波乱な一日だったなぁ。
あっ、クロがこっちに来た。
「クロ、おはよう!」
「おはよう!」
「どうして庭を走り回ってたんだ?」
「だって、部屋が酒臭かったから! 自分の体も臭かったから、走って消してたの!」
「ふ~ん」
「ご主人様が酔っ払って『可愛いな~』ってくっついてくるんだもん! うれしいけど臭かった!」
そうなの? 全然記憶にないな。
「そりゃ悪かったな」
「うん! それでね、ご主人様!」
「なんだい?」
「お風呂入ってきて!」
すみませんでした。
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