第41話 簿記ってどう?

外から、なかなかの爆発音が聞こえてくる。

ドカーンではなく、チュド~ンな感じのが。

う~む、ヤバそうだ。

あまり人には譲渡しないようにした方が良いかも。

でもこれでも放出にはなっている。

その辺はどうなんだろ? 神様案件だな。


あっ、走って帰ってきた。

勿論ついて来てた人達を置き去りにして。


「はぁはぁはぁ、凄いぞ、カズマ殿!」

「そ、そうですか。とにかく落ち着いて!

 今、スポーツドリンクでも出しますから!」

「う、うむ、すまない! だが、あまりの威力に驚いてな!

 凄いな、魔素を使うというのは!!」


俺がスポーツドリンクをコップに入れている間も、クロに話しかけていた。

う~む。そんなにか。


待てよ? 魔素って名前から推測するに、魔力の素?

魔法使うのに魔力を使う。その魔力の素が魔素。

魔素ってもしかして、圧縮した魔力?

もしそうなら、威力が上がるのも当然か。


そう言えば、魔素を譲渡出来る人は居ないとの事。

そして魔素を使えば魔法の威力が上がる。

ここから導き出される結論は……俺の所に企んでる者達が沢山来るって事。

王様に釘を刺しておくか。


「落ち着きましたか?」

「う、うむ。失礼した。しかしこれは不思議な飲み物だな。透明なのに味がある。塩水でも無いし……」

「運動した後に飲む飲み物ですよ。

 それよりも! 俺が魔素を譲渡出来るとか、魔素を使えば魔法の威力が上がるとか、言いふらさないでくださいね?」

「判っている。その結果どうなるかも想像がつく。

 しかし、ある程度の者には披露するぞ。カズマ殿の力を証明する為にもな」

「その辺の人選は王様に任せますよ」


大丈夫かな~と思ったけど、よく考えたら殺到されても問題無し!

結界があるからね!

鬱陶しかったらシロクロが撲滅するだろうし。


「お話はそれで最後ですか?」

「いや、後2つほど。

 1つはギルドの会計をして不正を見つけたとか。本当かね?」

「あぁ、それは本当ですよ。格安で会計をしています。

 不正を発見したのは偶然ですけどね」

「ふむ。どのようにしているか、聞いても良いかね?」


パソコン任せなんだけど。

しかも作業はクロ担当だし。

魔法具とか言っても良いんだけど、譲って欲しいとか言われても面倒。

そうか、簿記を教えれば良いのか。

確か簿記って凄い発明とか言われてたような気がする。違うかもしれないけど。


「えっとですね、会計には『簿記』という方法がありまして」

「ふむふむ」


……やっべ。

俺が詳しく無いわ。

簡単な説明だけにしよう。


「残金と支出と収入をちゃんと書く方法です。

 詳しくはネットで……じゃなくて! 今度本を作りますので、それを読んで下さい」

「そのような本を出版されるのか。是非買わせて頂こう。

 …………それまで、国の会計も見てもらえないかね?

 ギルドの会計は異常な速さで作成したというじゃないか。

 可能ならしてもらいたいが、どうだろうか?」


国の会計か~。

そんなの受けて大丈夫かな?

税金とか詳しく無いんだけどさ。というか、この国の税法とか知らない!

ま、纏めるだけでも良いなら。


「纏めるくらいなら受けても良いですよ。

 詳しくやるのは本を読んで、国の方でお願いします」

「おおっ! 受けてくれるか! ありがたい!」

「何でそんなに会計が気になるんです?」

「無駄にお金を使っていては、税金を上げざる得なくなる。

 現状でも高いと思っているのだよ。税を下げる為にも、詳しい会計は必要だ」


おおっ!

国民思いの王様ですね!

見直したぜ。って別に悪く思ってなかったわ。


「では、頑張らせてもらいます。

 で、最後の1つはなんでしょう?」

「最後の1つは、珍しい酒があると聞いたのだ! 是非とも飲ませて欲しい!!」


あっ、俺の中の王様の評価が下がった。

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