第35話 謝罪
ギルドマスターが訪ねてきた。
ま、十中八九、貴族の事だろう。
これで採取の事やランクアップの話だったらビックリだわ。
「こんばんは。やっぱ来られたのって、周囲のアレの事ですよね?」
「そうです……。申し訳ありませんでした」
「んん? ギルドマスターが呼んだの?!」
「違います! 事情を説明します!」
ギルドマスターの話は判った。
つまりシロが原因だと。まぁ、要因はバカ貴族の娘だけどさ。
リークした冒険者は責められないだろう。
バカ貴族でも、この世界に住んでいたら逆らえないだろうし。
「ギルドマスター、頭を上げて下さい。問題ありませんから」
「で、でも、相手は兵糧攻めするつもりでいますよ?」
「それは気にしないで。シロとクロはアイテムボックス持ちですし。
それに、ほら、えっと、俺、アレなんで、食料とはどうとでもなるんですよ、ははは」
「は、はぁ……」
異世界と繋がってるとはさすがに言いにくいな。
そうなると説明も難しい。
いや、言っても良いんだけど、そうなると異世界の物が欲しいとか始まりそうで。
ほら、例えば塩とか。安く手に入れて高価で売るとかよくあるけど。
そういうのって異世界のバランスを壊してると思うんだ。
俺の所が供給源になった場合、今までの所は売れなくなってしまう。
俺の所に依存した後、何らかで居なくなったらどうなる?
こういう事は技術があっての事だ。と、俺は考えてる。
「とにかく。食べ物飲み物は大丈夫ですから。
それよりも、アレ、ギルドマスターが言っても撤退しませんよね?」
「そこは手を打ってきました。王都に手紙を出してきましたので、近い内に解決するはずです」
「それはまたどうやって?」
「陛下に直訴したのです。『危険な物を封印している賢者の邪魔をする貴族が居る』と。
納得されれば、陛下が引き返すように命令するでしょう」
「……なるほど」
いつの間にか賢者というポジションになってます。
ま、簿記とか出来るので、賢い人って意味で賢者かもしれない。
パソコンでやっただけだけど。
本当の賢者はパソコンかもしれないな。
「そう言えば、シロから何か考えてるって聞いたけど」
「……恥ずかしい話ですが、私も貴族に目をつけられますと生活出来なくなります。
それどころか犯罪者扱いにされ、投獄されるかもしれません。
なので、もし陛下が動かれない場合は、保護してもらえないかと思ったのです」
「そういう事ですか。判りました。それは保証しましょう」
「ありがとうございます!」
「で、動かない可能性もあるんですか?」
「ラテラウ伯爵は、そこそこの地位なので……陛下も処罰しづらいと思われます」
あ~出た出た。王政なのに、貴族を処罰出来ない王。
功績があるとか、長年守っていたからとか、親しいからって理由のやつ。
いつもダメな国だな~と思いながら読んでたわ。
実際にあるんだなぁ。
あっ、だから娘も助長するのか! 納得!
もっと頑張れ、王!
「話は判りました。
今日はもう夜になりますし、泊まって行かれては?
明日シロがギルドに行く時に、一緒に行かれた方が安全でしょう?」
「うっ……確かに。…………お言葉に甘えて良いですか?」
「はははは。大丈夫ですよ。
じゃあ、一緒に酒でも飲みますか。良いのがあるんですよ~」
「本当ですか?! じゃ、じゃあご相伴に預からせてもらいます!」
ヴィンテージ物のワインを出して、一緒に飲んだ。
外の兵達が悔しがるように、ベランダで酒盛りしてやったわ。
判った事。
ギルドマスターは、酒に弱かった。
すぐに酔い、ギルドマスターも大変なんですよ~と愚痴。
1時間で酔いつぶれてしまった。
もっと見せびらかしたかったんだけどなぁ。
まぁ、悔しそうな兵の顔を見れたので、良いとしようか。
翌朝。シロをお供に二日酔いのギルドマスターは帰って行った。
周囲を囲んでる兵が引き上げたのは、それから3日後の事だった。
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