第30話 シロの回。厄介事3

『シロの回。厄介事3』



「主からのお使いです」

「えっ? もう出来たのですか?」

「そうらしいです。弟も頑張ってたので」

「弟さん? そ、そう。 じゃあギルドマスターに渡しておきますね」

「お願いします。これです」

「えっ?! 何この薄い紙! しかも白い!!」

「それと今回の依頼の品物です。いつものように受取カウンターに持っていきますね」

「えっ? あっ! はい!」


提出する物は全部出したので、後は精算待ちですね。

いつもの定位置に行きましょう。


上でゴロゴロしていると、兵士のような格好をした人達が入ってきました。

ひーふーみー、10人くらいですかね。


「黒猫を出せ!」

「ギルドマスターを呼べ!」


何か騒いでますね。

あぁ、シャティさんの邪魔をしてはいけません。精算が遅れるじゃないですか。

ちゃんと並びなさい。 受付は逃げませんから。


ギルドマスターが出てきました。

書類を取りに来たのでしょうか?

受け取ってますね。そして兵士?に捕まりました。

あっ!! 主の作った書類を叩いて落とさせました!!


「何者ですか、このバカは」

「あ~、シロさん。怒るのは判りますけど、その人死んでませんよね?」


上から飛び降りた瞬間に自重を20倍にして、頭の上に乗っただけです。

兜を装備しているので、死んではないでしょう。床には刺さってますが。


「主の作った書類と同じ様に、地面に落としただけです」

「ははは~……。あっ、ちなみにこの人達は例の貴族の私兵ですよ」

「そうですか」


私を捕まえようとしてきますね。

いや、殺そうとしてますね。腰に下げた剣を抜きましたから。


「正当防衛ですよね?」

「出来れば殺さないでもらいたいですけど」

「面倒ですが、判りました」


避けながらギルドマスターと話すと、殺すなと言われました。

では同じ目に合わせれば良いでしょう。




全員の足の骨を折っておきました。

主の書類を叩いた者は、ついでに腕も折っておきました。

さて、床に散乱している剣を拾いましょうか。


「あの~、シロさん? 何をしてるのです? もしかして掃除?」

「違いますよ。戦利品の回収です。受取カウンターに持っていけば良いですよね?」

「いやいや、モンスターじゃないんですから!」

「同じ事では? モンスターを倒して素材を得るのも、襲ってきた人を倒して戦利品を得るのも」

「そう言われれば…………って、いやいや、違いますよ!

 それに目の前で売りに出されても買えませんって!」

「つまり、後でこっそり出せば良いんですね?」

「そういう事じゃないんですって!

 とにかく返してあげてくだ……いえ、また暴れられると困るので、こちらに置いて下さい」


納得は出来ませんが、従っておきましょうか。

ギルドマスターには主の書類に目を通すという仕事がありますしね。


「しかし、これ、大問題だよなぁ……」

「どうする気ですか、マスター?」

「シャティ。ギルドマスターをやる気はある?」

「無いです」

「あっそう……。とりあえず緊急事態だな、これ。本部に連絡しておこう。

 あっちで何とか収めてくれたら良いな~…………」

「精算はどうなりました? それと次の依頼は?」

「シロ様、冷静ですね……」


精算も終了し、次の依頼も受けました。

では帰りましょうか。

地面に転がってて邪魔ですねぇ。縁に転がしておきましょうか。

あっ! 人間を転がすって、結構面白いですね! 楽しくなってきました!

おっと、そこの冒険者さん。危ないですよ。青白い顔でこっちを見てなくて良いですから避けて下さい。


帰ったら、クロにもこの遊びを教えてあげましょうか。

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