第31話 テレビゲーム

今日の仕事も終わりっと。

振り向くと、クロが待っていた。しっぽぶんぶんだな。

静かに仕事が終わるのを待っていたのか。偉い!

って事で撫ぜ繰り回した。

遊んで欲しいみたいなので、シロが帰ってくるまでゲームをしよう。



……まさか格闘ゲームでクロにまで負けるとは思わなかったぜ。

俺がヘタなのか? いや、チートが凄いって事だろう。そうに違いない。


晩飯を作ってると、シロが帰ってきた。

まぁ、レンチンだけど。

皆でメシタイム!

その後はまったり時間だ。


「そうそう、主」

「どうした~」

「今日、貴族の兵が来ましたよ」

「ギルドに?」

「そうです。ちゃんと倒してきました」

「『ちゃんと』の意味が判らないが……まぁ良いか。冒険者の仕事はどうだ?」

「毎日クリアしていますよ」

「ボクもするーっ!」

「はははは。クロもか。そうなると日中は俺一人だな」

「あっ! そうだね……。じゃあ朝だけするー!」

「シロ、そう思う?」

「良いと思います。登録、そして試験が必要ですけど」

「だってさ。クロ、やれるか?」

「頑張る!!」

「じゃあ明日はクロを連れてギルドに行ってくれ。頼んだぞ、シロ」

「大丈夫です。私が責任を持って、クロを連れていきます」

「やったー! おねえちゃんダイスキーっ!」


シロが感動に震えている。

うんうん、姉弟って良いな。


その後、シロも交えてパーティーゲームをした。

……何で最下位なんだろうか?




翌日。

朝起きたら、周囲を兵が囲っていた。

あ~、これがシロが出会ったっていう貴族の兵か。

ひたすら結界を攻撃してるけど、全く効いていない。

無駄だから止めて帰れば良いのになぁ。


朝飯を食べてシロとクロは出発する。


「囲まれてるけど?」

「問題ありません」

「どうするんだ? 今日はクロも一緒だぞ?」

「蹴散らしながら進めば良いでしょう」

「う~ん、問題無いような問題あるような……」

「ダメですか?」

「……ま、いっか。それで」


シロとクロは出ていった。

上から見てると今何処に居るかすぐ判る。

なんせ人が飛んでいくからね。チート怖い。


そのままシロを追うかと思ったが、ほとんどの兵がこっちに残った。

そして結界への攻撃を続けている。

意味無いのになぁ。どうにかして伝える方法は無いのだろうか?


あっそうだ。拡声器で喋れば良いんじゃね?

よし、早速通販だ。


昼前には注文した拡声器が届いた。

即日配達の通販って便利だなぁ。


「ヴ、ヴン。あ~、テステステス。

 え~、どこかの貴族の兵の皆さん、こんにちは。

 どんなに攻撃してもその結界は破れません。

 疲れるだけなので、止めて帰った方が良いですよ~」


せっかく忠告したのに、攻撃の手は緩まない。

いや、苛烈になったか?


う~ん、どう言えば判るのだろう?

逆に脅した方がおとなしくなるのかな?

でも、脅すって……。自慢じゃないけど、人を脅した事なんか無いんだよね。

って普通はそうか。

適当な事を言っておけば、諦めるかな?

そうだなぁ……ゲームの魔王みたいな感じはどうだ?

実践してみよう。


「フハハハハハ! 無駄無駄無駄ー!

 いくらやっても結界は破れぬわ!

 それと結界に触れた者には呪いがかかるぞ! グハハハハハ!!」


おおっ! 攻撃が止んだ!

最初から脅せば良かったな。

また攻撃を再開するんだったら、今度は高圧洗浄機で水攻めをする事にしよう。

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