第29話 魔素

翌日。


シロは今まで通りギルドに行った。

クロは続けてスキャナを使っている。

俺は仕事をしつつ、違う事を考えていた。


それは。

「魔素って何なの?」

って事。

そして魔素すら通さない結界。

もし魔素が電波的な物なら、電線を通して結界外に出せないか?

水に溶けるなら、水道水に溶かして外に流しても良い。

とにかく、何らかの方法で外に出せないのか?という事。

アースみたいにして地中に流せないのか? 空中限定?


それに放出方法。

シロが魔法を使えば、それに伴い放出される。

逆に言えばそれしか放出の方法が無い。

俺が電線を持ってれば放出出来ないのか?


もしこういう方法で放出出来るのであれば、放出量を増やす事が出来る。

う~ん、今度神に提案してみよう。


そんな事を考えたりしてたら、シロが帰ってきた。

おっともう夕方か。


「ご主人様~! 終わった~!」

「おっ、マジか」

「うん!」

「ご苦労様」


グリグリとクロを撫ぜてやる。

しっぽブンブンだなぁ。

あっ、シロが羨ましそうな顔で見てる。

シロも撫ぜてあげよう。よしよし。


晩飯を食べた後、いつもはゲームの時間だがギルドの仕事をしようか。

クロが頑張ってくれたしね。


うんうん、ちゃんと取り込めてるな。

じゃあこれを表計算ソフトで纏めるか。




2時間後。

完成したのだが。

すげー違和感のある出納簿が出来た。

ある程度儲かってるはずなのに、月の終わりにはほんの僅かしか残らないんだ。

計算が間違ってる訳じゃないし。故意にお金が残らないようにしてる感じ。


う~ん、取引先で分けてみるか。

おや? 毎月というか2日に1度の頻度でサルタ商会ってのが出てくる。

購入品は……文房具か。

紙やインクかな? 詳細が書いてないから判らない。

1回の取引額が少額だけど、月で纏めるとかなりの額になるな。

もし、これが無ければ…………うん、結構な黒字だ。


他にも、ロジテって冒険者との取引。

依頼を受けずに、採取や討伐してきたモンスターの素材を売ってる。

それは良いのだが、金額が常に他の人よりも少し高い。

採取が丁寧とかモンスターが綺麗な状態とか、そういうのはあるとは思うけど。


この辺も書類にしておくか。

後はギルドマスターが考えるだろ。

俺が口を挟む事じゃないな。会計士でも税理士でも無いんだから。


プリントアウトして完成だ!

……印刷を日本語でしてしまった。

どうすんだ?

フォントを変えれば良いって?! それで翻訳されるっておかしいだろ!

するけどさ。


よし! 完成!

今度はちゃんと読めない文字になった。


「シロ~」

「何でしょう、主」

「書類が出来たから、明日ギルドに行く時に持っていってくれ」

「判りました」


これで稼げるなんて楽な仕事だわ。

クロが頑張った事だし、クロ貯金って事にでもしようかな。

クロの小遣いだ。

……シロの事を忘れていた。

シロも冒険者で稼いだお金をシロ貯金としておこう。

街で買いたい物とかあるかもしれないしね。自由に使えるお金は大事だ。

猫缶買えって言われそうだけど。

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