第27話 なんでなんで?&シロの回、厄介事1

「ははは、クロ。それはレベルが低いからだよ」

「何でレベルが低いの?」

「上げて欲しいって頼まなかったからだよ」

「何で頼まなかったの? スキルが少ないのもそのせい?」

「そうだね」

「それだとご主人様は弱いよ? どうするの?」

「はははははは、クロ。シロに守ってもらうから大丈夫だ!」

「おねえちゃんは強いもんね! ボクも守る!」

「おう、よろしく!」


猫と子犬に守られる俺。

こう言うと問題な気がしてきた……。

通販で武器でも買った方が良いのか? ガスガンとかスタンガンとか。

……ま、出なければ危険は無いし、良いか!


その日からシロの特訓が始まった。

自分が外に出ている時に、家を守らせたいらしい。

籠れば安全なんだが、クロが楽しそうだから良いか。


翌日も、午前中は特訓して、昼からギルドに依頼を完了しに行った。

俺は相変わらず、デイトレードをしつつギルドの書類をスキャナで取り込んでいる。


「ご主人様~、何をしてるの?」

「ん? 仕事だよ?」

「え~、仕事って外に行ってするんじゃないの?」


ははは、誰だ、そんな事を教えたのは。

そして、ちょっとクロは腹黒なんじゃないかな~と思えてきた。

純粋な目で痛い所を突いてくる。気のせいか?


「こういう仕事もあるんだよ」

「ふ~ん……じゃあボクも手伝う!」


そう言って俺の真似をしてきた。

おおっ! 器用に口で書類を咥えてスキャナにセット!

PCのボタンを肉球でポチっと!

うちの子犬は優秀です。


……クロに任せて、俺は仕事しよ。




『シロの回。厄介事1』


スライムの核を10個と、薬草のモヨギの葉を10枚でしたね。

1時間で完了しましたので、ギルドに持っていきましょう。

早く帰ってクロの特訓の続きをしなくてはいけません。

ふふふ、弟……。良い響きです。

おねえちゃん……。甘美な響きです。

早く帰りましょう。



「こんにちはシャティさん。持ってきました」

「あっ! シロ様! ヤバいですって!」

「何がでしょうか?」

「ちょっと今問題が……」

「見つけました!!」

「あぁ……見つかった…………」


どうしたのでしょうか? 額に手を当てています。熱でもあるのですか? 治癒魔法かけますよ?

おや、そこに居るのは昨日見たサーラとか言われてた冒険者ですね。


「シロとか言いましたね」

「はい。私はシロです。何か用ですか?」

「貴方を飼ってあげる事にしました。感謝しなさい」

「お断りします。

 シャティさん。次の依頼は何でしょう?」

「ええっと……その…………」

「飼ってあげると言ってるでしょう! 早くこっちに来なさい!

 シャティ! その猫を渡しなさい!」

「うるさいですね。今、仕事の話をしているのですから。

 シャティさんに用があるなら、順番を待ちなさい」

「猫の分際で生意気ね!」

「シャティさん。何なのです? この会話の出来ない人は」


断ると言ってるのに理解出来ないようです。

それに仕事の話の最中に割り込むとは何事ですか。

昔、主が仕事の話をしている時に遊んでと近寄った時には凄く怒られましたよ!

つまり悪い事なのです! ダメです!

それも解らないとは……。


シャティさんに質問してみましたが、答えてくれません。

目も泳いでますね。どうしたのでしょう?


「ふん! 捕まえて連れて帰ります! お前達、捕まえなさい!」


何人かが私に近づいてきます。

鬱陶しいですね。仕事の話の最中なのに!

切ってしまいますか。


「シロ様! 殺しちゃダメです!!」


爪を伸ばすと、シャティさんが止めてきました。

殺してはダメなのですか。では痛めつけるだけにしましょう。


爪の先ではなく、腹の部分で足を殴ってあげました。

良い音がしたので、ちゃんと折れたでしょう。これで私に触れる事は出来ないですね。


「ふう。さて、シャティさん。次の依頼なんですけど」

「…………ギルドマスター!! ヘルプ!! シロ様がやっちゃいました!!」

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