第24話 また神様&シロ、その頃

『……また貴方ですか。今回はどんなクレーム?』

「失礼だな。誰がクレーマーだ。

 それで思い出した! 何だよステータスの『クレーマー』って! 取り消せ!」

『だから思ったら勝手に付くんだから、しょうがないでしょ!』

「そんな事言ってると、新しいペットの登録をしてやらないぞ?」

『……はぁ?』

「だから、お前が意図的に仕組んだ流れでうちにやってきた犬の話だよ」

『……ちょっと何言ってるか、わかんない』

「サンドウィッチ○ンかよ! 犬だよ犬! 子犬! 柴犬の子供!」

『何もしてないですよ?』

「えっ?」

『えっ?』


マジで? 偶然なだけ?

それを飼う事にしちゃったの?

…………まぁいいか。


「って事で、犬にもチートをよろしく!」

『何が『って事で』なの?! 何で?!』

「え~と、ほら、アレだよ、その、……そう! 魔素だよ、魔素!

 シロが放出出来るのは20までだろ? もう1匹居た方が良いと思わないか?

 同じ20だったら倍になるぞ?」

『そりゃそうですけど……』

「1日3回放出したとして、たった60だぞ?

 俺の保有してるのを全部出すのに何年かかる?

 そこで追加で1匹! 放出量が倍に! どうだ!」

『むむむ……』

「不吉な話だが、もしシロが寿命で死んだらどうする?

 誰も放出してくれなくなるぞ? だがもう1匹居れば、そんな時も安心!」

『わ、判りました! その子犬にもチートを与えます!!

 それで良いんでしょ!』

「うん、よろしく~」

『軽い!!

 与えますけどね……また増やさないでくださいよ?』

「あぁ、判ってるって。それ、フリだろ?」

『お笑いから離れて下さい! フリじゃないですよ!

 それで、どんなチートを? 擬人化?』

「それは断る!!」

『まぁそうでしょうね。シロさんと同じで良いですか?』

「あぁ。でも犬だから爪は無しな」

『そうですね。……ちょっと考えてみますよ』


そう言って会話は終了。

いや~、なんとか誤魔化せたかな。


少し待ってると、クロがうっすらと光り出した。

どうやらチートを貰ったみたいだ。

その証拠に喋りだした。


「うみゅ~。ふぁ~ぁ。あっ、ご主人様! ごはん!」

「第一声がそれかよ。はいはい、ご飯ね。ちょっと待ってろ」

「は~い!」


てふてふと俺の後を付いて歩いてくる。

何この可愛い生物!

シロ、悪い。俺、犬派に転向しそうだよ……。




『シロ、その頃』


「こちらが今回の報酬です」

「ありがとうございます。……にゃ!!」

「うわっ! ど、どうしました?!」

「主が浮気をしている気がします……」

「は、はぁ……」

「こうしてはいられません! 帰ります!!」

「ちょっと待ってくださいよ! まだ明日の依頼の話をしてませんから!」

「むむっ! そうでした。くっ! 辛い! でも、依頼を反故にしたら主に叱られるかもしれません……。

 判りました。素早くお願いします!」


凄く嫌な予感がするのです。

具体的には、子犬に主がメロメロになってるような予感。

許しませんよ!


「明日は、スライムの核を10個集めて来て下さい。

 それと薬草のモヨギの葉を10枚お願いします」

「了解しました。以上ですか?」

「そうですね、以上で……」

「あら? こんな所に可愛い猫が居るじゃないですか!」

「あっ、サーラさん」


急いで帰りたいのに、会話に入ってきたこの人は誰でしょう?

シャティさんが帰って良いですと言えばすぐに帰るのに。

サーラと呼ばれてましたね、この冒険者の人は。


「どなたの飼い猫ですの?」

「ええっと、カズマさんのです」

「カズマ……? 知りませんねぇ。ランクはいくつですの?」

「え~と……」

「別にランクは秘匿情報じゃありませんでしょ? 教えてくれてもよろしいでしょう?」

「……EEです」

「EE?! あら、可哀想に。そんな人に飼われているなんて!

 私が飼ってあげましょう」

「お断りします。

 シャティさん。以上ですか?」

「は、はい、以上です」

「ではまた明日!!」


早く帰らなくては!!

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