第13話 シロの回。途中3
『シロの回。途中3』
呼ばれたので、査定が終わったようですね。
「お待たせしました。
シロさんのランクは『BE』とさせていただきます」
「判りました」
「……あれ? 怒ったりされないんですか?」
「怒る……ですか? 何故でしょう?」
「だって、力はBですけど、採取等の能力はEですよ?」
「ギルドがそう査定したのならそうなのでしょう。
怒る理由がありません」
そう言うと、何故かシャティさんは困ったような顔をされました。
どうしたのでしょうか?
「やれやれ、怒らすって方法は失敗か……」
「ギルドマスター!」
おや、後ろから来られた男性はギルドマスターのようです。
どうやら計画的だったようですね。
この程度の事で私が怒る訳ないですよ。猫缶を横取りされるくらいでないと。
「怒らせて、登録を辞めさせるつもりだったんだが……」
「何でですか?」
「いや、どう考えても、猫が登録してるっておかしいからな?!」
「世界中を探せば、そんな所はチョコチョコありますよ」
「「「いや、無いから!」」」
そうでしょうか?
獣人とかエルフとかドワーフとか、その辺と変わらないと思いますよ。
「どうしても登録するのか?」
「ええ。主にそう言われてますので」
「……主か。そうだ、シャティ! こいつに付いていって、主とやらと話をしてこい!」
「ええ~~~~っ?!」
「主が止めろって言わないと無理だろ。
それに主次第では登録しても良い」
「主は良い人ですよ?ところで主次第とはどういう事ですか?」
「簡単だ。その主が登録すれば良いんだ。
お前は主の従魔って事にすれば、登録してなくても問題が無い。
それにお前が問題を起こした場合、責任の所在も決めたいしな」
主が登録! 素晴らしい響きですね!
一緒に冒険したりするんですか。あっ、無理っぽいです。
さすがにシロでも判ります。せいぜい庭を冒険するくらいですね。
しかし主を紹介するのは良い事ですね。
シャティさんにも主の素晴らしさを知ってもらいましょう。
「では案内しますね」
「あ、はい…………拒否権は無いんですね」
「頑張って良い話にしてこいよ!」
「マスターも一緒に行きましょうよ!」
「俺には仕事がある!」
「私にもありますよ!」
「お前の仕事は、今から猫の主に会う事だ! ギルドマスター権限でそう決めた! 頑張れ!」
「……恨みますからね…………」
シャティさんは着替えて来ました。
人に会う為の服装でしょうか?
「じゃあ行きましょうか……」
「はい。では案内します」
そのままシャティさんの肩に乗ります。
先行して歩いても、置いて行ってしまいそうですからね。
「場所はどの辺りなのかな? 中央近く?」
「どこが中央か知りませんが、ここからは離れていますね」
「そうなんだ。北門の方かな?」
「いえ、南門になると思いますよ?」
「ん? 何か会話が成り立ってないような……。
えっと、何処に住んでるんです?」
「主の家ですね」
「それは何処にあるのかな? 方角は?」
「ここからですと、南になります」
「すぐに南門に着くけど?」
「南門をくぐって、道なりに行けば着きます」
「街の外じゃないの!!」
「そうですよ? 言ってませんでしたっけ?」
「聞いてない!! この服装で行く所じゃないじゃないの!!」
そうでしたか。これは失礼しました。
服装は問題無いと思いますよ? モンスターなんか出ませんし。
あぁ、獣は出ますね。でも人間が一緒なら出てこないでしょう。
そんな事よりも、道中で主の素晴らしさを教えてあげなくては!
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