第12話 シロの回。途中2

『シロの回。途中2』


冒険者ギルドに着きました。

早速納品してしまいましょう。


「シャティさん。持ってきました」

「え? あっ! シロ様!

 採取してきたんですね。ではあちらに出してもらえますか?」


そう言って別のカウンターに促されました。

そちらのカウンターは大きく、ゴロゴロするのに最適っぽいです。


「ではまずこちらが、言われていた薬草です」

「はい。って32本もあるじゃないですか! 10本で良かったんですよ?

 よくこんなに見つけましたね」

「群生している所がありましたので」

「はぁ。そうですか」

「はい。それと採取中に襲ってきた犬がいましたので、退治しました。

 これは売れるのでしょうか?」

「犬ですか? ちょっと見ないと判りませんね」

「出して良いですか?」

「良いですけど……本当にアイテムボックスが使えるんですね」

「ええ。では出します。1匹で良いですか?」

「1匹? 何匹倒したんです?」

「徒党を組んでいたので、20匹ですね」


そう言いながら、カウンターの上に犬を1匹出しました。

するとカウンターの奥から、筋肉質の男が出てきました。

どうやらこの人が査定するようですね。


「おう、どうしたシャティ。

 ウルフじゃないか? 久々に探検でもしてきたのか?

 もう職員なんだから、無茶すんな」

「私が狩ってきたんじゃありません! シロ様です!」

「シロ……様?! 誰だそりゃ?」

「この黒猫がシロ様ですよ」

「…………ははははは! なかなか笑えるジョークだな。

 お前の飼い猫か?」

「初めまして。シロと言います。よろしくお願いします」

「……あぁ、腹話術か。凄い特技があるんだな。

 忘年会に向けて練習中か? 上手いじゃないか」

「私じゃないってば! シロ様が喋ってるの!」

「猫が喋る訳ないだろ」


そう言って私を捕まえようとしますが、主以外には簡単には触らせませんよ?

ヒラリと躱します。

喋る事も信じてないようなのでそのまま肩に乗り、耳元で話しましょうか。


「このウルフというらしい犬は、いくらで売れますか?」

「うわっ?! 猫が喋った!!」

「さっきからそう言ってるじゃない!」

「そんなの信じるヤツが居るかよ! えー、マジかよ!」


話が進みませんね。

売れるなら売れる、売れないなら売れないで、早くして欲しいです。

ちょっとイライラしてきたので、威嚇しておきますか。


しゃー!


ひっ?!!


おや、ギルド内の全員がビビったようですね。

ふふん、私の威嚇もなかなかです。


「…………な、何だよ、この、猫。シャレに、ならない、威圧感があるぞ…………」

「シ、シロ様! すみませんでした! 怒らないでください!」

「ふう。それで、この犬は売れるのですか?」

「は、はい! 売れます!」

「では20匹の買い取りをお願いします」


まとめてカウンターの上に出しました。

どれも一撃だったので、結構綺麗だと思います。

血は未だに出ていますが。

おっと私の方に流れてきましたので、避けましょう。


「で、では、査定が終わるまでお待ち下さい」

「判りました」


ではゆっくりしましょうか。

天井に良さそうな梁があります。あそこで休めば良いですね。

う~ん、多少ホコリっぽいですが、なかなかの梁です。

高さも人間には届かない位置なので、丁度良いです。

人間を見下ろすのは気持ちが良いですね。

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