第9話 チート
ふ~、今日の取引も終了!
いや~、異世界に居るとは思えない程、快適に仕事が出来た。
やっぱ人間、楽する事に慣れたら手放せないよな。
さて、風呂のスイッチを入れておいてっと、入るまではトレーニングするかな。
風呂から上がり、ゲームしてたらシロが帰ってきた。
「主~、帰りました~! ご飯! ご飯!!」
「おかえり。あれ? 猫缶持って行ってただろ? 食べなかったのか?」
「猫の手では開けられないのです……」
「お前って、賢いのか抜けてるのか……。
爪で切れば良かったじゃないか。綺麗に真っ二つに出来るんじゃないか?」
「なるほど! さすが主! 天才ですね!」
「いや、気づけよ」
「では早速!」
「いやいや、帰ったんだから、切らなくても良いだろう。
開けて皿に出してやるよ」
「恐縮です!」
んー、神が入れた言語のせいか? それとも元々なのか?
微妙にシロの言葉が変だ。
そう言えば、俺も晩飯がまだだったわ。
シロと一緒に食うか。
飯を食いながら、今日の出来事を聞いてみるか。
「街まで行ったんだろ? どうだった?」
「大きな壁で囲まれてました。まぁその壁も柔らかかったので、防衛には向かないと思いますが」
「お前の爪が鋭利なだけだろ? で? 冒険者ギルドは有ったか?」
「ありました!」
「おおっ! さすが異世界! で、登録出来た?」
「いえ、現在試験中です」
「加入するのに試験があるのか。ラノベとは違うな」
「実力の試験は合格したので、今は採取の試験です!」
「ふ~ん。採取ね。何を採ってこいって?」
「薬草です。なので明日は横の森に入って薬草を探してきます。
その後ギルドに行って、合格してきます!」
「おっ、いいね。頑張れ!」
「はい!!」
飯も食ったので、ゲームの続きをするか。
シロも賢くなったんだから対戦するか。
……シロはキーボードでプレイしてるのに、ボッコボコにされた。
くそ! チートめ!!
もう一回!と頼んでたら、目の端に家の航空写真が出た。
何だこれ?
「シロ。眼の端に航空写真が出たんだが」
「私には出ていませんよ? 主のチートでは?」
「俺はチートなんか貰ってないぞ? あっ、もしかして結界の関係か?
ほら、玄関に黄色い点が付いてて、動いてるぞ」
「見えないから判りませんよ。主が家の大家なんですから、それでなのでは?」
「そうなのかもな。
って事は、結界に何かあればこうやって表示されるのか」
「そうかもしれませんね」
「う~ん、要検証だな。
おっと、そんな事よりもこの黄色い点を確認するか」
「窓から見てみましょうか」
シロと一緒に確認すると、どうやら人が居るみたいだった。
用があるならインターホンを押せば良いのに。
あっ、インターホンなんか知らないか。
じゃあ出迎える……のは面倒なので、インターホン越しに話すか。
「何か御用でしょうか?」
「うおっ! 声が?! 誰か居るのでしょうか?!」
「居ますよ~。何の御用ですか~?」
「ええっと、私は商人でして。夜になり街の門の閉まってますので入る事が出来ずに困っていまして。
そしたら家が見えたので、寄らしてもらいました。
庭で良いので、一晩休ませて頂けないでしょうか?」
「それはお困りでしょう。どうぞ、ご自由にお使い下さい」
「ありがとうございます」
街の門は夜になると閉まるのか。
安全の為なんだろうけど、こういう時は不便だな。
うちの庭で良ければ使ってもらっても構わない。
どうせ、俺は使わないし。せいぜいシロが転がるくらいだ。
「主。結界があるのでは?」
「ん? ああ、そうだったな。
でも許可出したから通過出来るんじゃないか?」
「そうでしたね」
未だに目の端に出ている航空写真には、門扉辺りでウロウロしてる黄色い点が写っている。
あれ? 入れないのか?
インターホン越しの許可じゃあダメなのかな?
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