第5話

 私は五歳になり、貴族の子息が五歳になると参加するパーティに出席することになった。正直、あまり乗り気ではないが、父上から「王家主催のパーティだからボイコットはできない」と言われてしまった。


「はー」


「どうした、そんな浮かない顔をして」


「父上、正直こんなことしているぐらいなら魔法の研究でもしていたいです」


「そうだな、だが貴族として横の繋がりは大切だ」


「分かってはいるんですけど…… はー」


「仕方がない。このパーティにさえ出れば、しばらくは出なくて大丈夫だ」


「なら、頑張ります」


「ところで、うちの領地から王都はかなり遠くないか?」


「まあ、家の役目が隣国が攻め込んで来た際の防衛などの役割だからな」


 そんな話をしていると、前方の騎士が報告に来た。「この先に盗賊が待ち構えておりますが、どういたしましょうか?」


「そうだ、ルーカス。お前に三十人の騎士を与える。盗賊を殲滅してこい」


 どうやら父上は、ここで私に実戦経験を積ませたいようだ。家の騎士たちはよく訓練され、戦闘経験も豊富なので、そこらの騎士には負けない強さを誇っている。安全と踏んでいるのだろう。


「分かりました、父上」


 三十人の騎士たちを率いて、私は盗賊の待ち伏せている場所へと進軍した。鬱蒼と茂る森の中、辺りはひんやりとした空気が漂っている。剣を握りしめる手に少し汗が滲んだが、ここで怯むわけにはいかない。


「皆、気を引き締めろ。敵は森の奥に潜んでいる」


 騎士たちは私の言葉に静かに頷き、各々が武器を構えた。すると、前方からガサリと草が揺れる音が聞こえ、影が現れた。彼らは粗末な鎧を身に着け、無造作に剣や槍を構えている。おそらく、森の生活に慣れた盗賊どもだろうが、訓練された我が家の騎士たちにかなう相手ではない。


「かかれ!」


 私が叫ぶと、騎士たちは一斉に動き出した。刃と刃がぶつかり合い、金属の音が響く。盗賊たちは思ったよりも人数が多く、次々と仲間が現れては襲いかかってくるが、騎士たちは臆することなく応戦している。


「この程度か……」


 私は盗賊の一人が振りかざす剣をひらりとかわし、隙を見て一撃を加えた。盗賊は驚きの表情を浮かべて倒れ、他の仲間たちも動揺を見せ始めた。私たちが優勢であることに、彼らも気づいたのだろう。


「逃げるな! 戦え!」と盗賊の頭らしき男が叫ぶが、その声も空しく、彼らは次々と戦意を失っていく。


 戦いが続く中、騎士たちが次々と盗賊を打ち倒し、徐々に戦場は静けさを取り戻した。気づけば、盗賊のほとんどが戦意を失い、逃げ出した者もいれば、降伏する者もいた。


「殿下、無事に盗賊を殲滅しました」


 一人の騎士が私に報告する。彼の額にも汗が光っているが、表情は誇らしげだ。


「皆、よくやった。これで森の安全は守られた」


 


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魔法バカ 高山 @mitsuitoshiaki

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