第2話 幼き天才




 私は3歳になったころから、魔力の流れを感じ取る練習と体内の魔力を動かす訓練に励んでいた。その甲斐あって、魔力の総量も増え、最近では魔力を圧縮したり、体に纏わせる遊びまで楽しむようになっていた。目に見えない力を扱うことに、どこか喜びを感じていたのだ。


 そんな中、新たに始まったのは剣術の訓練だった。たった3歳の私にとって少々早い気もしたが、どうやら武家の貴族ではそれほど珍しいことでもないらしい。


「はあ、はあ……疲れた」


 息を整えながらつぶやく私に、剣術の師であるハインズが目を細めて感嘆の声を上げた。


「坊ちゃんは本当にすごいですね。まだ3歳なのに、もう魔纏ができるとは……これからが楽しみですよ」


 魔纏とは、魔力を体に纏わせる技術のことだ。私は遊びで体に魔力を纏わせていたのだが、それが意外な形で力を発揮した。試しに剣術の稽古でも使ってみたところ、効果は抜群だった。


 その結果、わずか3歳ながら、3時間もの間、剣術の稽古を続けられるようになったのだ。


(この分だと、将来は魔法と剣術の両方でかなりの腕を磨けるかもしれない)


 幼いながらも、自身に纏った魔力が小さな自信となり、さらなる成長への意欲をかき立てていた。


 そんなある日、ハインズが新たな訓練を提案した。


「ルーカス様、基礎は十分ですので、次は闘気の練習に入りましょう」


「闘気?」


「闘気は、体内に宿る生命エネルギーを使った技術です」


「どうやったら使えるの?」


「まあ、実際に見せた方が早いですね」


 ハインズはそう言うと、体からゆらゆらとしたオーラを放ち、まるで圧倒的な力を周囲に示すかのようだった。


「これが闘気です」


 彼の言葉に、私は息をのんだ。魔力とは異なる、どこか野性的な迫力を持つ力が目の前にあったのだ。


 それからの私は、剣術と魔力、そして新たに加わった闘気の修行に励む日々を送った。魔纏を自在に使いこなし、さらに闘気を体内で感じられるようになった私は、3歳とは思えないほどの実力を発揮し始めた。


 剣を手に、体に闘気を纏わせると、肉体が驚くほど軽くなり、力がみなぎってくる。まるで心の奥底から湧き上がる力が体を支配し、筋肉が鋼のように強固になる感覚だった。


「ルーカス坊ちゃん、もう闘気の基礎は十分です。次は、闘気を剣に集中させてみましょう」


 ハインズの言葉に従い、私は闘気を剣に流し込んだ。すると剣が淡く光り、その威力が格段に増しているのが感じられた。


「すごい……」


「これが闘気の集中技術です。攻撃を一点に集中することで、威力は数倍になります」


 私は自らの中に宿る魔力と闘気という二つの力を感じながら、強くなることに喜びを見いだしていた。





 

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