第40話

「どうした?」

暖のマンションのソファーの上に望奈と暖は並んで座っていた。

暖は望奈を心配そうに見つめている。

「疲れてる?」

望奈は黙って首を振った。

そして暖を見つめながら笑顔を見せた。

「大丈夫」

暖は何も言わずに望奈を抱き寄せた。

望奈の左手首にはブレスレットが揺れている。

望奈の脳裏に涙を浮かべている莉子の姿がはっきり映っていた。

だからこれでいい。

高原君と付き合うなんて出来ない。

私には暖がいるんだから。

「望奈、何があった?ちゃんと話して」

暖は望奈の身体をゆっくり引き離した。

暖はじっと望奈を見つめている。

やっぱりこの人には誤魔化しは利かない。

「彼が親友と別れたの」

「どうして?」

「親友が言うには…… 私を好きになったって」

暖の目に哀しみの光が走った。

「それで…… 望奈はどうしたいの?」

しんみりとした寂しさを感じる声だった。

「私には暖がいるわ」

望奈は暖の両頰を手で包み込んだ。

「ごめんなさい。嫌な思いをさせて」

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