第39話
望奈は黙って首を振った。
「莉子、私は彼とは付き合えない」
望奈は声を押し殺している。
「そんな簡単じゃないよ…… 」
望奈の瞳から涙が零れ落ちた。
「私は莉子が高原君をどんなに好きだったか知ってる。このまま諦めていいの?」
望奈の心が2つに裂かれている。
莉子の苦しみと、悠真の気持ちへの怒りだ。
望奈は悠真が好きだ。
だから今の莉子がどんなに苦しいか分かる。
そんな莉子の気持ちの上に土台を敷くなんてどうしたって出来ない。
「試合見に行って。私には出来ない。この道を選んだから…… 彼とデートする事は出来ない
の」
いつの間にか涙は乾いていた。
望奈は痛いぐらい真剣な眼差しで莉子を見ている。
「私は彼の側にいる事が出来ない。莉子には出来る事が私には出来ないの」
「望奈…… 」
「だから高原君の事諦めないで」
莉子は望奈に抱きついた。
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