第38話

望奈は莉子を誰もいない裏門近くの校舎の裏に連れて行った。

「落ち着いた……?」

望奈は莉子に包み込むような眼差しを向けている。

莉子は重い口をやっと開いた。

「悠真と別れたの…… 」

莉子は口に出すのも辛そうに、そっと目を伏せた。

「辛かったね…… 」

「悠真に好きな人が出来たの」

莉子はそう言いながら、望奈の左手首に掛かっている銀色のブレスレットを見た。

「そのブレス…… ずっとしてるね」

「彼から貰ったものだから」

望奈はそっとブレスレットに手を触れた。

「お願い!悠真の気持ちに答えて!悠真は望奈が好きなの……!」

莉子は涙をボロボロ零しながら望奈に迫った。

望奈は驚きで言葉も出ない。

一言もなく、呆然と莉子を見ている。

「悠真が好きなのは…… 望奈なの」

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