第36話

望奈は優子との電話の後、すぐに莉子に電話しようとして、思わずその手が止まる。

莉子は今、どんな気持ちなんだろう……

莉子は小学校の時からの親友だ。

中学時代ずっと好きだった先輩の事も莉子は知っている。

だがその人には彼女がいて、ずっと一方通行だった。

莉子に励まされて、先輩の卒業式の日に今までの想いを告白した。

彼女がいる事を告げられ、莉子の元に戻って大泣きした。

その間、ずっと莉子は私を慰めてくれた。

ねえ、莉子……

私達、どうして同じ人を好きになったんだろうね。

もし違う人を好きになっていたら、お互いの気持ちを誰よりも分かり合えたのに……

望奈はケータイを握ったまま、ソファーに座り込んで泣き出した。

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