第34話

望奈……

誰もいない放課後の教室で莉子はぼんやりと椅子に座っていた。

望奈がこの事を知ったらどうするだろうか。

きっと悲しむと思う。

望奈は自分も悠真が好きだったのに、心から私の恋が実った事を喜んでくれた。

望奈は元々可愛かったけど、芸能界に入って益々可愛くなった。

悠真が好きになっても仕方ないと思う。

でも、私には望奈のように祝福する事が出来ない……

だってただ見ていた時より何十倍も好きになっているから。

望奈、ごめんね。

私には伝える事が出来ないよ。

莉子は机の上にうつ伏せて泣き崩れてしまっ

た。

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