第14話

映画のクランクアップが来た。

望奈も暖もスタッフから大きな花束を貰って拍手を受けていた。

「3ヶ月間有難う。色々楽しかった」

暖が柔らかな笑顔を見せた。

「お礼を言うのは私の方です。本当に有難う御座いました」

望奈は暖に頭を下げた。

「もう仕事も終わったし、敬語はなしで。俺の事は暖でいいから」

暖の言葉を聞いて望奈は目を丸くしている。

「これからも会えるの?」

「俺は、望奈を友達だと思っていたけど違う

の?」

望奈って呼んだ……

暖は逆に戸惑っている様子である。

「ごめん、馴れ馴れしかったかな」

暖の声が沈んでいる。

何だか捨てられた子犬のような目をしていて、望奈にはそれが可愛く思えた。

望奈は思わず笑顔になった後で、何度も首を振った。

「逆だから。もう会えないのは残念だなって思っていたから」

「じゃあ、今日から友達な。俺も望奈って呼ぶから」

既にアドレスは交換済みだった。

「所で演技指導の事だけど…… 」

「心配してくれて有難う。事務所から引き続き葉山先生に指導して貰うように頼んだの。だからあすかに通うから」

望奈の言葉を聞いて、暖の顔がパッと輝いた。

「それは良かった!じゃあ同じ劇団員としてもよろしく」

望奈は暖と顔を見合わせて笑った。

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