第14話

父は文具メーカーの中間管理職。母はパート。姉は花屋で働いている。

家は普通の一戸建て。

飼っている芝犬の名前はダン。

私はただの大学生。

暖は超人気俳優……

何もかもが違いすぎる。

何処にも接点はないのに、私と彼は出会ってしまった。

劇団あすかのすぐ側にあるファミリーレストランで私は高校生の時にバイトしていた。

彼は毎日9時過ぎにやって来ては、チキンカレーや、グラタンや、ハンバーグプレートなんかを注文していた。

ウエイトレス達は挙って彼の注文を取りに行った……


「悪いけど、これ変えてくれる?俺、グラタンと言ったんだけど。これドリアが来てるから」

これが暖と双葉の初めての会話だった。

「キャーキャー言うのは勝手だけど、ちゃんと聞いて」

暖は機嫌が悪かった。

「申し訳ありませんでした!」

双葉は90度に頭を下げて謝った。


「あの。今日は申し訳ありませんでした。これに懲りずにまた来て下さい」

レジで会計をする時、双葉は暖に再度謝った。

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