第8話

「望奈、ここのコーヒー、メチャクチャ美味しいから」

「何が美味しいの?」

「俺はモカに決めているけど、望奈は初めてだからブレンドにしておく?」

暖と望奈は、カウンター席に横並びに座っていた。

「じゃあそうする」

「後はこの後稽古だし、何か軽いものでも食べるか?」

望奈は暖とメニューを見ている。

「ピザトーストはどう?」

望奈が暖に訊いた。

「うん、美味いよ」

「じゃあ、そんなにお腹空いてないから、それを2人で分けっこしよう」

「あーいいよ」

暖は笑った。

「じゃあ。モカとブレンドとピザトーストね」

「それで、暖。さっきの話の続き」

「あーADの小泉さんの事?」

暖と望奈はすっかり話が弾んでいる。

「仲いいねー」

マスターがモカとブレンドとピザトーストをテーブルに置いた。

「望奈とは何時間話しても飽きないんだ。いわば同士というか親友だな」

望奈は笑いながら、ブレンドを一口飲んだ。

芳醇な香りとコクが口一杯に広がる。

「美味しい!暖がこの店の常連になる気持ちが分かる」

「だろ?」

暖は嬉しそうに笑った。

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