第4話
暖が私を好き……
劇団あすかでの演技稽古が始まっても、望奈の頭の中には忍の言葉が残っている。
「望奈!お前何、稽古中にボーっとしてるん
だ!」
尽かさず暖の声が飛んだ。
望奈は慌てて演技に入った。
「情感が籠もってない!もう一度!」
「お前、今日全然気持ち入ってなかったぞ。一体如何したんだ?」
劇団近くのハンバーガーショップで、暖はにんじんシェイクを飲んでいた。
「昨日、友達にね。暖が私の事好きだって言われたの」
その言葉を聞いて、暖は思わずにんじんシェイクを吹き出しそうになった。
「そんなわけないだろ!」
暖はナプキンで口元を拭った。
「だよねー。そんな事あるわけないよねー」
望奈は漸くホッとしたように、胸を撫で下ろした。
「あーびっくりした」
「俺達は……いわば親友だな」
「うん。親友。私、絶対暖は失いたくない。恋人なら別れてしまえば終わりだもん」
望奈は真剣な目で暖を見ている。
「だよな。それで今日お前、練習に気合いが入ってなかったの?」
「ごめんなさい」
望奈は素直に謝った。
「望奈、無理に忘れようとしなくていい。自然に思い出に変わる時を待てばいいんだよ」
暖の目が、望奈を温かく包み込むように見ている。
望奈は涙が滲んで来た。
「俺なら幾らでも付き合うからさ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます