また、恥をかきにいく

嗅覚

鼻は利かないほうだ。

過食のゾーンに入ってから、ある日突然、食欲がピタリと止んだ。

何故だろう、と思って、しばらくして気づいた。

匂いがしない。

だから、職場で人が何か食べているのを見かけても平気だったのだ。

私は指先に鼻を近づけた。

さっき洗った石鹸の匂いとか、切った食材の匂いとか、化粧品の匂いとか、なんでも良いからしないだろうかと思ったけれど

何もなかった。

そういえば過眠も始まっていた。

十二時間は寝てしまう。

全身が痛い。

しかし、嗅覚が失せるというのははじめてだ。

ストレスという程のことでもないが、自分にがっかりきて、この体はあらゆることを拒絶し始めたみたいだった。

まぁ、好きにすれば。

どうせ死ねませんよ。

自分にすらイライラした。