闇バイト

私には学がない。

根気もない。

だから体一つで楽に高く稼ぎたい。

煩わしい人間関係は耐えられない。 


世の中は闇バイトに手を染めた若者を短絡的な犯行だと理解に苦しんでいるが、私はきっと彼らと同じ気持ちだ。

むしろ、この原始的な欲求をなぜ他の人は理性で押し留められるのだろうと思うし、この時代にあってもそれだけ幸せな人が多いのだと驚いた。

幸福かどうかじゃない。

じゃあ教養なのか?

負うリスクが高すぎると人は言うけれど、私たちには0か100なのだ。

0の人生がずっと続くなら、それはもうリスクを遥かに上回る絶望なのだ。

100を取って負うリスクで絶望を断ち切ってくれるならそれで構わない。

満足できるレベルの0ならいい、でもマイナスだとしたらなんの足枷にもならない。

人間関係も経済事情も、なにひとつ現状に満足できるものがないから、最早無敵なのだ。

彼らは自分の現世を憎んですらいるのだから、どんな形であれ一石を投じたかったに違いないと私は感じる。


あとは世の中関わり続けたいと思える素敵な大人が少なすぎる。

それに尽きるんじゃないだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る