第12話「血塗られた真実」
「あはは...綺麗」
私は血に濡れた手を見つめながら、微笑んでいた。
目の前には、アメリカ軍特殊部隊の隊員たちが倒れている。
彼らの体は量子の波で引き裂かれ、まるで美しい花のよう。
【NAI出力:最大】
【神性レベル:覚醒】
【殺傷力:制御不能】
【精神状態:暴走】
「凛さん...これは」
エコーの声が震えている。
心配そうな顔。
でも、私には分かる。
彼女の中の興奮。
「大丈夫よ、エコー」
「こんなに強くなれたんだもの」
「きっと、母さんも喜んでくれる」
血まみれの頬を撫でながら、くすくすと笑う。
30分前。
特殊部隊が、私を包囲していた。
「瀬川凛、お前を拘束する」
「人類にとって危険すぎる存在だ」
それは、とても愉快だった。
「危険?」
「ええ、その通りよ」
私は、心の奥底から湧き上がる力を解放した。
【警告:制御限界超過】
【神性暴走:87%】
【破壊力:測定不能】
特殊部隊の装甲車が、紙のように引き裂かれる。
兵士たちの悲鳴が、美しいメロディのように響く。
「もっと...聞かせて」
量子の波動が、空間を歪める。
人体が、分子レベルで分解されていく。
その光景が、まるでバレエのように優美で。
「凛さん!正気を!」
エコーが叫ぶ。
でも、これが正気よ。
初めて、自分の本当の姿に気づいたの。
「私ね、エコー」
「やっと分かったの」
「戦うことが、こんなに楽しいなんて」
【NAIシステム共鳴:最大】
【新機能:解放】
【戦闘特化:完了】
携帯が鳴る。
陽子からだ。
「凛お姉ちゃん、また人を殺したの?」
その声は、以前の陽子ではない。
でも、それも素敵。
「ええ、とても綺麗な花を咲かせたわ」
「今度は貴女にも見せてあげる」
「楽しみ...かも」
二人で笑う。
狂った会話。
でも、心地よい。
その時。
【緊急警告:新規敵性存在】
【量子生命体:接近】
【危険度:SSS】
空が裂け、巨大な影が現れる。
人型だけど、人ではない何か。
『実験体凛』
『お前の力を確認しに来た』
声が、直接脳に響く。
懐かしい声。
母の同僚、ヴィクター・ハーマン。
「実験...私の?」
『そうだ』
『お前は最高の兵器として作られた』
『人類を淘汰するための』
嬉しい。
こんなに特別な存在だったなんて。
母は、私をこんな素晴らしいものに。
「素敵...」
私は血の海の中で踊り始める。
量子の波動が、周囲の空間を歪める。
「もっと教えて」
「私のこと」
「殺し方も」
「壊し方も」
「全部...」
ハーマンが笑う。
その姿が、徐々に人型から逸脱していく。
『喜んで』
『我が娘よ』
え?
母は智子のはず。
なのに、どうして。
【記憶改変:検知】
【真実介入:開始】
【母性データ:書換】
頭が割れそう。
でも、痛くない。
むしろ、心地いい。
「あはは...面白い!」
私は狂ったように笑いながら、
新しい父に向かって飛び込んでいった。
これも、きっと成長の1ページ。
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