『推しの子』の企画は内村航平くらい捻りまくってるのが凄いぞっていう話

『推しの子』、今週で最終回らしいですね。毎週木曜日を彩ってくれた漫画の終わりは寂しいですが、万感の思いで受け入れようと思います。


話しは変わるんですが、『推しの子』の企画って、めちゃめちゃ捻ってるのが凄いと思うんですよね。もはや内村航平を見てる気分。何回捻るねん。


まず、


①アイドルオタクの医師の元に妊娠した推しアイドルが現れる。推しアイドルの妊娠に葛藤するが、アイドルの強烈な魅力に絆され、彼女の出産を全力でサポートすることを決意する。


――という、これだけでもある種のヒューマンドラマは書けそうな滑り出し。これを、こう捻ります。


②出産直前に主人公は襲われ死亡。まさにそのアイドルの子どもとして転生する。アイドルの血を引いた主人公は芸能人としての才能を発揮する。


ここで転生モノ要素が来ました。ヒューマンドラマな滑り出しから、劇薬とも言える転生要素を混ぜるという荒業。これだけでも、常人にはなかなか思いつかない捻り。


また、アイドルの血を引いていることプラス、転生前の知識や経験を活かして芸能界での成功を暗示させるというプロットも熱い。重ね重ね言いますが、これだけでも一つの作品になってしまいそうな『面白さ』なんですよね。そして、さらに捻ります。


③武道館ライブの直前、アイドルの母はファンに刺されて死ぬ。主人公はその黒幕が芸能界にいることを掴み、復讐のために芸能界に身を投じる。


なんじゃこりゃ。凄すぎないですかこれ。ここに来て『復讐』という要素まで入れてきました。どんだけ混ぜるねん。


さて、ここまで見てきてなんですが、もし仮に、①から③までの要素が独立していたら、どう思います?


面白そうとは思うものの、正直なことを言うと、どこかで見たことある感――ありますよね?


一つ一つはどこかで見たことのある話。

だけど、それらを混ぜることによって、どこにもない、まるで新しい『面白さ』を作り出す。


これぞまさしく『推しの子』メソッドと呼ぶべき手法だと僕は思います。惚れ惚れするくらい素晴らしい企画ですね。


『既存のものを混ぜ合わせる』というメソッドで成功した作品をもう一つ紹介します。ご存知、大人気サッカー漫画の『ブルーロック』です。


『サッカー選手として成り上がっていく』という既存の『スポーツ成り上がり』モノに、『ブルーロックを脱落した者は二度と日本代表にはなれない』という『デスゲーム』要素を掛け合わせるという荒業がバシッとハマっています。


『ブルーロック』は他にも、少人数制の試合というルールで描写するキャラを絞ったり、デスゲーム要素を逆手に取って試合中に味方を裏切らせて意外性を出したりなど、様々な工夫が随所に見られてとても勉強になります。


僕は企画を作るのがあまり上手くないので、こういうものからちょっとずつ吸収していきたいですね…。

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