つまらない話をどれだけ練ってもつまらない話にしかならないという話

何回か前の回に引き続いて『企画』の話なんですけど、昔僕はものすごく構成を厳密に勉強したいと思ったことがあって、触れるあらゆる作品について、構成の分析を試みたことがあります。


構成の基礎は、『SAVE THE CAT』の『BS2』が有名ですね。ここで僕がくだくだ説明するまでもなく、色んなサイトで解説されているので、興味があったら検索してみてください。


この『BS2』に基づいて既存作品の構成を分析して、自分が書く時も、書いている内容がどのビートにあてはめるつもりなのか――などなど、考えて考えて、ある日僕は気づいてしまいます。


「もしかしてこれ、そんなに重要じゃなくね?」


評価シートとか色々な人の意見を総合すると、ことライトノベルの新人賞において一番重要なのは、『その作品がどういう面白さを提供するのか』という『大枠』、そしてそれを実現する『キャラクター』、この二点なんですね。


自分の話ではなく聞いた話ではあるんですが、新人賞作品は受賞後そのまま出版されるわけではなく、かなりの部分が改稿されて世に出ることになります。中には、ほぼ全差しに近い改稿をすることもあると聞きます。


つまり、構成がちょっとまずいくらいなら、後でどうとでもなります。


もちろん、作品の『面白さ』や『キャラクター』を伝えるための構成や技術は必要ですが、それって全然、優先順位第一位じゃないと思うんですよね。


極論ですが、つまらない話の構成をどれだけ練ってもそれはつまらない話にしかなりません。面白ければ多少構成がまずくたって作品の力が道を切り開いてくれる。力こそパワー。


『企画で9割決まる』


というのは言い過ぎかもしれませんが、それに近いものはあると感じています。


構成は大事だけど、それに凝り過ぎても意味ないよなあという話でした。

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