第3話
次の日の僕は、学校の帰りにスーパーに寄った。プリンの材料を買うためである。
以前イタリアンプリンを食べたときの記憶と、文明の利器を参考に材料を買う。プリンだからもちろん卵、牛乳がいる。砂糖は前に買ったものが残っているから大丈夫で、バニラビーンズも僕の試作用に両親が少しだけ分けてくれる。あとはしょっぱさと濃厚さがあるから、クリームチーズと生クリーム。マスカルポーネとコンデンスミルクのレシピも見たので、そっちも買っておく。
急いで家に帰ったら、台所を借りる。両親は用事を終えて、今はお客さんと喋っている。邪魔にならないように、さっさと終わらせようと気合を入れる。印刷した二つのレシピを冷蔵庫に貼って、頭巾をきつく締める。
まずはカラメル作りから。お鍋にグラニュー糖とお水を入れて、火にかける。揺すったり混ぜたりしないで鍋を見続け、こげの匂いがしたらお湯を入れて馴染ませる。すごく跳ねるのを注意して、火傷をしないかハラハラしながら混ぜたら、二つ用意した四角い型に入れておく。
プリンの液はそれぞれのレシピに沿って作る。作ったプリン液を濾しながら型に入れ、耐熱バットに敷いた濡れた布巾の上に乗せる。バットの方にお湯を入れたら、それをオーブンに入れて湯煎焼きにする。お店で出すプリンも湯煎焼きで作っているから、これは慣れたものだ。
父が良く言うように、手際と順番を意識する。早く仕上がる方から焼いて、そっちを冷ましている間にもう一方も焼いていく。二つとも焼けたら、粗熱が取れた方から冷蔵庫に入れる。いつもお店で使っている冷蔵庫の端の方を間借りする。冷ます時間は一晩。明日の帰宅後にはちょうど美味しいタイミングになる。疲れた体に鞭を打って、今のうちに洗い物をすることにした。
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