第26話 みなみの報告

ポテトサラダカレーが大成功を収めた翌日、みなみが子ども食堂に飛び込むようにやってきた。その顔には大きな笑顔が浮かび、唯を見つけるなり駆け寄ってきた。


「唯ちゃん!昨日のポテトサラダ、お父さんが『おいしい』って言ってくれた!」


その言葉に唯は驚きと喜びで胸がいっぱいになった。「本当に?よかったね、みなみちゃん!」と声を上げると、みなみは頷きながら話を続けた。


「最初は『また作ったのか』って感じだったんだけど、一口食べたら『これ、うまいじゃん』って。それから『こんなのどこで覚えたんだ?』って聞かれて、唯ちゃんたちと一緒に作ったことを話したんだ」


唯はその報告に胸が熱くなり、自分のことのように嬉しくなった。「それ、すごいよ。みなみちゃんの頑張りがちゃんと伝わったんだね!」


みなみは少し照れくさそうに笑いながら、「でもね、お父さんが『今度は一緒に作ってみるか』って言ってくれて…。私、次はお父さんと一緒にポテトサラダ作ろうと思うの」と言った。


その言葉に、唯はおばあちゃんがいつも言っていた「料理は人をつなぐ」という言葉の意味を改めて感じた。みなみが勇気を出して作ったポテトサラダが、お父さんとの距離を縮めたのだ。


「じゃあ、次はもっとおいしいポテトサラダを作れるように、また練習しようよ」と唯が提案すると、みなみは元気よく「うん!」と答えた。


その日の子ども食堂では、みなみと一緒にまた新しいカレー作りに挑戦することになった。おばあちゃんが「今日は野菜たっぷりのヘルシーカレーを作ってみましょう」と提案し、二人は楽しそうに野菜を選び始めた。


トマト、ピーマン、ズッキーニ、ナスなど、カラフルな野菜が次々と鍋に投入され、鮮やかな彩りが食堂に広がった。みなみは「こんなにいろんな野菜を使ったの初めてかも」と笑いながら、楽しそうに野菜を炒めていた。


カレーが煮込まれている間、唯はみなみに「次にお父さんとポテトサラダ作ったら、どんな味にしたい?」と聞いた。


みなみは少し考えてから、「お父さんが好きなものをもっと入れたいかな。ウインナーとか、ちょっと変だけどお父さん好きなんだよね」と笑った。


唯はその言葉に「いいじゃん!みなみちゃんらしいポテトサラダになるね」と答え、二人で未来の料理のアイデアを話し合った。


完成した野菜たっぷりのカレーは、子どもたちにも大人気だった。「このカレー、トマトの味がしておいしい!」「ピーマン嫌いだったけど、これなら食べられる!」と喜ぶ声が次々と聞こえ、唯とみなみは顔を見合わせて笑った。


その帰り道、みなみがぽつりとつぶやいた。「料理って楽しいね。作るのも、誰かが食べて喜んでくれるのも、すごく嬉しい」


唯はその言葉に深く頷いた。「うん、そうだよね。私もそう思う。だからこれからも、もっといろんな料理に挑戦しようね」


みなみと共に歩きながら、唯はこれからも料理を通じてみなみや他の子どもたちとつながり、誰かの心を温める存在でありたいと静かに思った。


彼女の中で、料理はただの作業ではなく、人と人をつなぎ、心を癒す大切な行為になりつつあったのだった。

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