第21話 新しい挑戦
みなみと一緒に作ったカレーが成功し、子どもたちに喜んでもらえたことで、唯の心にはさらに大きな自信が芽生えていた。みなみも次の子ども食堂を楽しみにしていると話してくれて、唯はその言葉がとても嬉しかった。
次の子ども食堂の日、おばあちゃんが唯に新しい提案をしてきた。「唯ちゃん、今日は少し変わったカレーに挑戦してみない?」
唯はその言葉に驚きつつも興味をそそられた。「変わったカレー…ですか?」
「そうよ。いつも作っているカレーも素敵だけど、たまにはちょっと違う工夫をしてみるのも楽しいものよ。例えば、今日は具材にリンゴを使ってみようと思っているの。甘みを加えることで、もっと優しい味わいになるのよ」とおばあちゃんが説明した。
唯はそのアイデアにわくわくしながらも少し不安を感じていた。「リンゴをカレーに入れるって…おいしくなるんでしょうか?」
おばあちゃんは微笑みながら言った。「新しいことに挑戦するのは、いつも少し不安なものよ。でも、やってみると意外な発見があるかもしれないわ」
その言葉に励まされ、唯は挑戦する決意をした。みなみも少し遅れて到着し、唯が新しいカレーに挑戦することを聞くと、「私も手伝いたい!」と目を輝かせて言った。
調理が始まり、唯とみなみはリンゴを慎重に切り分け、鍋に加えていった。リンゴの甘酸っぱい香りが広がり、普段のカレーとは違う新しい香りに二人は少し驚きながらも楽しんでいた。
「これ、どうなるのかな?」とみなみが不安そうに聞くと、唯は「きっと大丈夫。おばあちゃんがいるからね」と自信を持って答えた。その言葉がみなみを安心させたのか、彼女も笑顔を浮かべた。
リンゴを加えたカレーが煮込まれ、仕上げに唯がスパイスを調整すると、普段のカレーとは少し違う、まろやかで甘みのある香りが完成した。
試食の時間になり、唯とみなみは緊張しながら一口食べた。リンゴの甘さがスパイスの香りと絶妙に溶け合い、これまでとはまた違った味わいが口の中に広がった。
「これ…おいしい!」みなみが目を輝かせて言い、唯も深く頷いた。「リンゴ、こんなにカレーに合うんだね…」
おばあちゃんも「唯ちゃん、みなみちゃん、とっても素敵なカレーになったわね。リンゴの甘みが優しくて、食べる人の心を温めてくれるわ」と二人を褒めてくれた。
その日、リンゴ入りのカレーは子どもたちにも大好評だった。「いつもと違うけど、これもすごくおいしい!」という声があちこちから聞こえ、唯とみなみは顔を見合わせて笑い合った。
帰り道、みなみが唯に「今日はすごく楽しかった!次は何を入れるカレーにしようか?」と目を輝かせて言った。唯も笑顔で答えた。「次は何にしようか、一緒に考えようね」
唯にとって、新しい挑戦を通じてカレーの可能性が広がっただけでなく、みなみとの絆もさらに深まる貴重な一日となった。そして、おばあちゃんの言葉の通り、挑戦することの大切さを実感した唯は、これからも自分のカレー作りを進化させていこうと心に決めたのだった。
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