第2話「始まりの時」

 何も疑わずについていくほのか。

 


 家に着き、電気をつけて部屋の中に入っていく大翔。

 急いでお湯を沸かし、ほのかをお風呂へ連れていき着替えとタオルを置く。

 そして温かいお茶を入れ、リビングのソファに座った。


“ほのか” はどんな子なのだろう。どうしてあんなに、、、。いったい何があったのだろうか。


 こんなことを考えているなんて、我ながらどうしたのだろうか。いつもならこんなに他人に干渉はしない。どちらかというとさっぱりしている。いや、少し冷たいくらいか。

 そんなことを考えている時だった。


 ガチャ(ドアが開く音)

 そこには髪がベチャベチャなほのかの姿だ。大翔は「風邪引くから」と急いでほのかの髪を乾かす。

 真っ白な肌にとても痩せている身体、そして肩まである綺麗な黒髪。表情はない。


 大翔はこのとき初めてちゃんと“ほのか” を見た。


 今日はもう遅いから、また明日ゆっくり話そう。

 ・

 ・

 ・

 次の日の朝

 寝室を覗くと、布団にくるまったほのかの姿があった。

 まだ寝ている。そりゃそうだ。あんな夜に雨に打たれていたのだから、疲れているだろう。


 二人分の朝食を準備している時だった。寝室からほのかが起きてきた。


 大翔「おはよう」

   「朝食準備してあるよ,食べられる?」


 ほのかは小さく頷き、二人で食卓テーブルを囲むと、そこには静かな時間が流れていた。



 大翔はほのかを連れ、署へ向かった。

 ・

 ・

 上司はすでに、昨日一緒にいた後輩から事情を聞いていた。

 一度話をしようと、ほのかを個室へ連れて行った。その場にいるみんなが、彼女が “ほのか” という名前である以外に何も知らない。少しでも話を聞けたらいいのだが、、、。


 〜〜〜


 個室へ連れて行かれたほのか。


 ほのか「、、、」


 上司「ほのかちゃん、だね」

  「君は昨日、あぜあんなところにいたの?」

  「通っている学校は?」

  「保護者の名前は?」

  「大丈夫、安心して答えてね」


 安心ってなに?安心できる場所なんてない。


 〜〜〜


 部屋から出てきた2人。上司の困っている様子を見ると、きっと彼女は何も話してはくれなかったのだろう。

 大翔は決断した。


 大翔「きっとしばらくはこの状態でしょう。しばらくの間、僕に預からせていただけませか?」


 上司は大翔の覚悟を見たからか、うーんと考え込むと「わかった,頼むぞ」そう言った。

 案外あっさりと。




“こうして、二人の日常がスタートしたのだった”

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