第23話 神父②

__二手に分かれ一足先に教会に辿り着いたアルヴィン・ショウ・エルの3人。そこで神父エイダンと出会う__


「それにしてもまぁ、魔王を倒すってのに回復役がいねぇのはどうかと思うぜ」

エイダンが笑いながらそう言った。

「一時居たには居たんだが…」

「ニセモノだったってわけか?よく居んだよ、神父になりすまして金儲けしようとするやつ」

「ちゃんと見分ける方法はないのか?」

私が問うと彼はしばらく考えた。

「王サマに言うのは気が引けるが、一つだけあるぜ。骨折ってみせりゃ…」

エイダンの言葉が終わる前にショウが彼をしばいた。

「それじゃまたここに戻ってくる羽目になるだろうが」

「あぁ、なるほど」

彼はそう言うとまた考え出した。


「      」

エルが笑いながら何かを言った丁度その時、エルの言葉をかき消すようにドンっと音を立てて扉が開いた。


「大変!!突然盗賊が襲ってきて…!バロンとアキラが…!」

慌てた様子のライリーがそう言って教会に入ってきた。

「まだ完治してないだろうから、エルはここにいろ。ショウ、エルを頼む。王サマはついてきてくれ」

エイダンはそう言ってライリーのもとへ走った。私もそれについて行く。


「お嬢さん、お二方の元へ案内して頂けますか?」

エイダンはさっきと打って変わり、丁寧な口調でライリーにそう言った。



ライリーに案内され辿り着いた場所では数名の盗賊とバロン、ショウが戦っていた。

「王サマ、剣を貸してくれませんか?」

エイダンにそう言われ、私は彼に剣を渡した。


「また貴方達ですか。次来たら容赦しないと言いましたが…貴方達には理解が出来なかったようですね」

彼はそう言いながら盗賊に向かってゆっくりと歩いて行った。

「迷える子羊の道標になるのが私の役目。ご案内いたしましょう、常夜まで」


「ライリー、君にこのままここを見続けさせたら2人から怒られそうだ。エルの元へ戻ってくれるかい?」

私がそう言うとライリーは少し困惑した表情を浮かべながら、そっと頷いた。

私は落ちていた太めの枝を適当に拾った。それに気付いたライリーがその枝に魔法をかけた。

「みんなはそれが剣に見えてるわ!」

ライリーはそう言ってから教会の方へかけて行った。


「安心したまえ!地獄まではお前達のような低能でもすぐたどり着ける!!」

「コイツらなんかでも?それは何故?」

「なんたって"地獄までの道は善意で塗装されている"のだからな!!」

エイダンとバロンは、2人話し、高らかに笑いながら盗賊を圧倒していた。


「アキラ、大丈夫か?」

私は少し顔色が悪い(ように見える)アキラの近くへ行き、そう聞いた。

「だ、大丈夫…」

「ならいいのだが…」

私がそう言いかけた時、

「…じゃないからもうやっちゃうね!!」

そう言ってアキラが盗賊の方へ手のひらを向けた。


一瞬あたりが真っ白になり、そして盗賊達が動きを止めた。バロンとエイダンはその瞬間を逃すことなく盗賊達にトドメを刺した。

「人間があんなに……うっ」

アキラは口元に手を当て、しゃがみ込んだ。

「大丈夫か?」

私はアキラの背中をさすった。

「ライリーがいなくてよかったよ…」

そう言ってアキラは力なく笑った。


「アキラ、今のは?」

「昨日トイレに行くときに暗かったから光の魔法使ったんだけど、電気と似てるなって思って…。だから電気みたいに痺れさせられるんじゃないかなって」

アキラはそう言いながらそっと腰を上げた。

「ショウ達は教会にいるんだよね、早く戻ろ?」

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