★ライリーのひとりごと①

「私達は手前でスライムだけを倒しましょ」

みんなを見送った後、私はショウに提案した。

エルに任されもちろんと答えたが、正直自信がなかった。

ショウが頷いてくれてなんだか助かった気分だわ。


順調にスライムを倒していき、ショウは残り一匹、私は残り二匹というとこまで来た時、森の奥から甲高い悲鳴が聞こえた。

「ライリー、様子を見に行くか?」

ショウの質問に私は迷った。

「他の2人が向かうだろうから無理はしなくてもいいかもしれないな」

それに気付いたのかショウはそうフォローしてくれた。でも…。私は少し迷って、心の内をショウに話した。

「あの悲鳴、女の人の声だったでしょう?でもエルは悲鳴なんてあげないだろうから…一体誰の何かしら?」

ショウはハッとした様な顔をした。

「確かにそうだ。試験官は1人しかいないからテストを受けている人ではないだろう。誰かが迷い込んだのか、モンスターの罠か、だな」

キャーなんて悲鳴、6人の中であげるとすれば私くらいだから、きっと4人は向かうわよね。エルとバロンがいれば罠でも平気そうだけど、私達はそうはいかないわ。

「4人に任せましょ。罠でも迷い込んだ人でも、あの4人なら上手くやると思うわ」

私の言葉にショウは頷いてくれた。


残り3匹のスライムをそれぞれ倒している間、2人で悲鳴の話をした。


「バロンは悲鳴を上げる前に切り刻むと思うわ」

ショウは笑った。

「エルは驚いても『なんだいコイツは!』って言って短刀で斬りつけるだろうな」

ショウのモノマネがあまりにそっくりだったから私は思わず吹き出してしまった。

「アルヴィン様は驚いたら声が出なくなるタイプだと思うわ」

「俺もそう思う。アキラは"うわっ"みたいな声は出しそうだな」

「そうかしら?私、アキラは"ひぃぃ"って冷静じゃなくなると思うわ」

私はそう言って最後のスライムを倒した。


「ライリー後ろ!」

ショウの声で後ろを見た。

スライムが私を目掛けて飛びかかってきていた。


スライムは空中で弓に射られて落ちた。

「ショウありがと〜!!」

私はショウに抱きついた。死ぬかもしれないなんて思ったから本当に怖かったわ。

魔王を倒すのならもっと強くならなきゃ。



それからしばらくして戻ってきた4人の話を聞いて私は驚いた。

やっぱりあの悲鳴は罠だったのね。怒られるかと思ったけどエルにさすがだと褒められて嬉しくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る