第9話 武器
__天清・影内の特訓1日目が終わり、討伐に参加するための武器買いに行く事になった__
日が沈み空に星が浮かびだした頃、この国1番の市場に着いた。
この時間でも沢山の灯りと人で賑わっている。
初めてきた2人はその光景に圧巻されていた。王として誇らしい限りだ。
市場のアーチをくぐろうとした時、ライリーが足を止めた。
「私、お母さんに市場に行かないよう言われていたのを忘れていたわ」
「国王と国一の兵隊サマが一緒でもかい?」
エルの質問にライリーはしばらく考えた。
「わからないわ。だってそんな状況滅多にないですもの」
「何故だめと言われているんだ?」
「人が多くて危ないからよ」
「なら大丈夫だろう。恐らく私達のそばにいるのが一番安全だ。帰りは私が安全に家まで送ろう」
王直属の護衛が一人の少女を護衛するのだから母も安心するだろうということで話はまとまった。
「武器屋はここしかない。もう一軒あるにはあるが数ヶ月前から閉まっているからな」
そう言ってバロンが武器屋の扉を開けた。
部屋の中には沢山の武器が所狭しと並べられていた。
「ショウ、ここでは剣だけを選びな。」
エルが弓を見ながらそういった。
2人はしばらく考えていたがやがて見るのをやめた。
「何が良いのかさっぱりです」
「それによく考えたら元の世界の金は使えませんよね」
2人が同時に口を開いた。
「お金のことは心配しなくて良い。貴方達の目の前にいるのはこの国の王だからな。それから…」
そう言って私はエルに目を向けた。
「武器はアタイが見てあげるから、まずは好きな長さを選びな。」
武器選びはしばらくかかった。
途中からそれぞれが2人にバラバラなアドバイスをしたせいだ。
結局2人は兵士達が持つものと同じ長さの剣を選んだ。
「次は防具屋さんね!」
ライリーがそう言って武器屋の扉を開けると、外はもう真っ暗だった。
「防具は別の日だね」
エルがそう言って笑った。
「アタイは市場をまっすぐ抜けるからここでお別れだ」
「私とお二方は先に城へ戻ろう。」
「じゃあみんなここでバラバラに行くのね」
私達は商店街を後にし、各々の帰路へついた。
城に着いてすぐ2人と別れて自室に戻り、溜まっていた業務を再開した。
明日の討伐には付いていけそうにないななんて考えていると、突然扉が叩かれた。
扉を開けるとバロンが立っていた。
「家まで送ってきましたのでご報告に。」
業務を進めている間にかなりの時間が経ったらしかった。
私はバロンに労いの言葉をかけ、今日はもう寝ることにした。
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