愛の温もり
23歳の頃トキはある研究を成功させた。
能力の増幅方法についてだ。今までは筋力を鍛えると比例して能力が増幅されると
考えられていたがもっと簡単に増幅できることが判明したのだ。その研究のおかげで
トキは知名度が上がり次々に仕事が舞い込むようになった。他の仕事も全て成功して、
たった24歳という若さで偉大な魔法使いたちの仲間入りを果たした。それでも今まで通り変わらず二人でいる時間を大事にしていた。
トキにとっては前の方がもっと2人で居れたのに今となっては毎日のように城の研究室で
他の魔法使いたちと仕事しなければいけないのが不服だったが「私はトキの頑張りが認められたことが嬉しい」とハルカに言われると
何も言うことが出来なかった。24歳の夏
ハルカが死亡 他殺によって。夢なんじゃないか?と疑うほどに。その日は朝から王様に呼ばれていた「あぁ、行きたくないな。今日はハルカと一緒に買い物に行く約束していたのに」不貞腐れたトキに対しハルカは微笑んだ
「買い物なんて何時でも行けるでしょう?
本当、私のこと少し好きすぎよ 私が
居なくなったら どうするつもりなんだか」
トキはハルカが買い物に行っただけでもハルカがいないと言って家の中を探し外まで探しに行くそのことをわかっていながらハルカは冗談を言ったのだ。「ずっとハルカを探しながら待ってるけど帰ってこなかったら死んじゃうかもしれないな。……ほら、僕ってうさぎみたいだから」するとハルカは声を出して
笑った「何言ってんのよ、トキはどちらかと言うと犬でしょう?それに うさぎって寂しくても死なないのよ」トキは少し悩み聞いた
「じゃあ、僕は ハルカの忠犬ってこと?」
ハルカも少し悩み「そうかもね、どこまでも私を探しに来るじゃない?でも待ってて言ったら待っててくれる 」ハルカは愛おしそうに
トキを見つめた「ハルカが褒めてくれるなら忠犬も悪くないかも。……それじゃ、行ってきます」「行ってらっしゃい」
数時間後ようやくのことで帰れたトキは
ハルカにお土産のケーキを買って家へ帰った
「ただいま、ハル……」扉の先の光景に目を
疑った廊下にナイフを刺され血を流し倒れるハルカがいた持っていたケーキを落としトキはハルカに駆け寄る「ハルカ!ハルカしっかり 今、今治すから!」徐々に冷たくなる
ハルカに触れるハルカはトキの手に触れ
優しく微笑んだ「……ここに、いるの?」
その声は途切れ途切れで今すぐにも消えて
しまいそうだった。「あぁ!いるから!
だから」ハルカは優しく微笑む「良かった……幻覚じゃない、私の愛するトキなのね?」ハルカは1粒涙を流し トキの頬に
触れた ハルカはまるでもう自分の生を諦めているかのようだった「生まれ変わったら、また愛してくれますか?」トキの目の前がぼやける 助けれるはずなのに手が震えてできない
喉の奥が痛くて言葉も出ない できたのは
いつもの笑顔を浮かべて頷くことだけだった
ハルカは冷たくなりまるで人形のように
なった。犯人はすぐに捕まった、数日後の葬式にはハルカの両親も来ていた「トキくん」義父がトキの肩に優しく手を置いた「何もできませんでした、目の前で今にもハルカが死にそうなのに 何も出来なかった。……僕は、無能ですなんのための治癒魔法だ、なんのために僕は魔法を使える?なんのために?」
泣き叫ぶトキを見て義母も泣いた「……ハルカを、ハルカを守るためだろ?ハルカを
守るために 人生を捧げると誓ったんじゃないか!なのに、なのにハルカは死んだ!
僕のせいで!僕のせいでハルカは死んだのに僕は、僕はハルカに何もしてあげれなかったいつも わがままばかり言ってハルカを困らせて最低な旦那だった、最後の最後まで無能な役に立てない旦那だった」トキはハルカの死体の頬を撫でた まるで眠っているようでありながら人形のように美しくもあった。「トキくん、ハルカは言っていたトキくんは優しくて何を言っても笑って許してくれると。……私なんかのために仕事をやめてしまって申し訳なかったと」義父に続け義母が言う「トキくん。ハルカと結婚して 幸せにしてくれてありがとうねだからハルカの分まで“生きて”」トキはその場で頷くことが出来なかった。
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