霧煙る街の事件を揺蕩う

 19世紀、倫敦の闇に君臨した殺人鬼『切り裂きジャック』。私達にとっては、既に過去の出来事です。別の国で起きた、恐ろしい事件。ですが、現実の私達に危害が及ぶことのない出来事です。
 この短編は、現在の我々が知るよしのない筈の、当時の空気を纏っているように思えます。読めば、その頃の夜の闇を感じることが出来ます。

 悍ましく、恐ろしい、そして、抗いがたい魅力があります。短編として完結している物語ですが、この続きを望むのは自分だけではないでしょう。