第18話 突破口

 「まずは、イチだな。あいつを説得しよう。お前とあいつはそこまで接点がない。だから、殺される。だから積極的に話しかけるんだ。」

「!、なるほど、」

 確かにあんまり話したことがなかった。

 そこから、私の行動は早かった。

「イチさん!」

「!、みゆきさんでしたか。なにか諸用が?」

「いえ、今夜、さぁちゃんたちとUNOというものをするのですが、イチさんもどうですか?」

「UNO、ですか?」

「はい!」

 イチさんは一瞬驚いたように目を見開き、それからどこか照れくさそうに微笑んだ。

 「UNO…ふむ、興味深いですね。では参加しましょうか。」

 イチさんが頷いた瞬間、胸の奥がドキリとした。

 こうして距離を縮めることが、ループの突破口になるかもしれない。

 そんな期待と緊張が入り混じっていた。

 「わかりました。では、シーホースの部屋で待ってます。」

 シーホースの部屋、というのは隊員や副管理人などが息抜きなどに使う部屋で、よくババ抜きなど遊びが行われている部屋だ。

 ちなみにさぁちゃんに伝えると、「楽しそうですね!」と、さぁちゃんは小さく跳び上がり、瞳を輝かせて私を見つめた。

 その様子はまるで小動物のようで、本当に可愛らしかった。

 任務から何事も無く、帰り、シーホースの部屋へ行くと、シーホースの部屋には、どこかくつろいだ空気が漂っていた。

 隊員たちは談笑を続け、時折こちらをちらりと見ては、楽しげな笑顔を浮かべている。

「さて、始めましょうか」とイチさんが声を弾ませた。その様子はどこか子供っぽく、普段の冷静な雰囲気とは少し違っていた。

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