第17話 ゲーム

ループした先は、任務に赴く少し前だった。

 まず誰が操作しているのか、探さなきゃ。

「ねぇ、さぁちゃん」

「はい?」

 にこやかと、笑みを浮かべてさぁちゃんが言った。

「さぁちゃんってゲームとかってする?」

「ゲーム、ですか?しますよ〜、ババ抜きとかUNOとか!」

 さぁちゃんの無邪気な笑顔を見て、確信した。

 彼女はこの奇妙な世界の真実を、何も知らない。

 彼女を巻き込むわけにはいかない。

 次は、ニさんだ。

「ニさん!」

 ニさんは、ニッと白い歯を見せ、言った。

「お?なんだ?」

 「ゲームって知ってますか?」

 ニさんの顔が一瞬引き締まり、鋭い視線が私に向けられた。

 『リトライか?』その言葉に驚きが混ざり、緊張が一気に走った。

 「え?」

「あっ、いや違くて」

 その後、問い詰めると、二さんはあっさり白状した。

 ニさんは肩をすくめながら「バレちまったか」と笑った。

 でもその目には真剣さが宿り、「俺も、みんなを幸せにしたいんだ」という言葉に嘘はなかった。

 一人で何度もループを繰り返してきた私にとって、共に戦う相手がいることが、どれほど心強いことか。

 「よろしくお願いします」と頭を下げると、ニさんは快くうなずいてくれた。

 「じゃあ、作戦を練るか」とニさんが笑った。みんなを救うために、私たち二人が何をすべきか。次のループこそ、絶対に成功させてみせる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る