第16話 誰か

私はまた、真っ暗なあの場所に居た。

 ゲームオーバーの文字が浮かんだ。

 指を伸ばそうとした瞬間、思いがけず『ピロン』と音が響いた。

 自分で操作したはずの画面が、まるで勝手に動かされるような不気味さが背筋を冷たくした。

 操作しているのは、私ではない誰か――。

 その可能性が頭をよぎり、冷たい恐怖が心を締めつけた。

 ずっと一人でやってきたつもりだったけど、見えない何かが私を操っているのかもしれない。

 また私は白い光に包まれた。

 もう何回目かも覚えてない。

 だれかが操作しているかは大した問題ではない。

 問題はみんなだ。

 救わなきゃ。

 たとえこの身が何度消えても、必ず救ってみせる。

 私が諦めない限り、このループには必ず意味があると信じているから。

 心も体もすり減っていくような疲労が蓄積されているのを感じる。

 それでも、みんなを救うまで、私は立ち止まれない。

 

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