第14話 期待

 視界が開けた瞬間、見覚えのある景色が広がっていた。前と同じ場面に戻されていることに、背筋が凍るような不安が湧き上がった。

 少しだけこの世界のことがわかった気がする。

 今回だけは、何かを変えられる気がした。ささやかな違いが、この世界を打破する鍵になるのではないかと、ほんの一瞬、期待してしまった。

 また鋭い痛みが腹を貫く。

 が、現実は甘くなかった。

 分かっていたはずの結末が現実となり、再び絶望が胸を締めつけた。

 どうして、何度繰り返しても変えられないのだろうか。

 どれだけ抵抗しても、結末は変わらない。何度も同じ結末に辿り着く虚しさが、心の奥に重くのしかかってきた。

 何度殺されようとも、私は諦めない。この繰り返しの中で、少しずつ何かを掴み取ってみせる――それが、私の唯一の希望だった。

 

 


 

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