第3話 魔法戦闘
不意に、ドタドタ……と騒がしい足音がした。
その途端、イチさんは、静かに笑顔を消し、目が鋭くなった。
――ちなみに、イチさんのこの顔を見たのは、この時だけだった。
そして、ドンガラガッシャーン!という音とともに、イチさんの執務室(らしい)の扉が壊れた。
現れたのは、銀髪の少年だった。
「イチ!お・ま・えな〜〜〜〜〜…!」と彼は、青筋を立て、口元をわなわなと震わせながら、彼は怒気を含んだ視線をイチさんに向けた。
イチさんはそんな彼をモノともせず言った。
「あゝ、やはりあなたでしたか。相変わらずお元気なようで。それよりもあなたのその単細胞な行動のせいで扉がまた壊れてしまいました。そろそろ改善されてはいかがですか?」
ニコニコと、ネットで、『暗黒微笑』と称されるような笑みを浮かべながら。
銀髪の少年は、顔を真っ赤にしながら言った。
「上等だ…。やってやるぞ……!」
銀髪の少年は、つえを取り出して言った。
「水よ、我が的に衝撃を!ウォーターボール!」
すると、つえから水が出てきて、数秒後には水の球になっていた。
「魔法での勝負ですか。いいですね。では、こちらも。」
イチさんもつえを取り出して、言った。
「浄火せし火炎の精霊よ。過ぎ行く大地を紅く染め、飲み込むモノを永久の地獄に誘え。ヴァラズビューラ!」
すると、溶岩流が溢れ出し、熱風が辺りを巻き込む中、彼は冷たい水の壁で立ちはだかった。
彼は、強気な笑顔を浮かべて言った。
「手前なら、その魔法を使うだろうな。なんたって得意魔法だもんな」
ニヤリと彼が笑った。
このままじゃ部屋が全て焼き尽くされるかも、と胸の鼓動が速くなるのを感じた。でも、私には止める術がない。どうすれば……! 慌てたような足音が聞こえて、女の子が入ってきた。
長いマントと尖った帽子をまとい、肩で息をしながら入ってきた少女。彼女はどこか古風で、明らかに『魔法使いです!』と叫ぶような格好だった。
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