第15話 エレナ(3)
本当はすぐにでも飛行船の感想について聞きたかったところでしたが、
外でずっと立ち話も何だし、大変だったと思うから、中でお茶でも飲みながら話そうか。
とお師匠様。
お師匠様からの提案を断る理由もないですし、何よりお師匠様とお茶を飲みながらゆっくり話せるなんて最高じゃないですか!!
ありがたくお茶をいただくことにしましょう!
ふむふむ。
先ほどはそれどころではなかったのですが、
改めて孤児院をしっかりと見てみると、決して新しくはないものの、しっかりとしたつくりの建物なんですね。
そしてええと。
何より建物から神聖なオーラのようなものを感じますね。
ここは教会や神殿や聖域かなにかなのでしょうか?
懐かしいような、あたたかさを感じる場所です。
…………
建物のなかに通されると、
お師匠様から奥様と子どもたちを紹介されたのですが………
「妻のミラです。はるばるお越しいただき、ありがとうございます。お疲れでしょうからゆっくりしていってくださいね。」
どうしてでしょう?
一言、奥様に優しくお声をかけていただいただけなのに、歓喜の涙を流しながらひざまずいている自分がいました。
きっと高貴な御方、それもとびきりの。
そういうことなのでしょう。
そして何よりもお美しい……
ぽーっと見惚れていると、
「初めまして、サラです!!どうぞ宜しくお願いします!!そしてさっきはいきなりごめんなさい!!」
と、燃えるような赤髪の凛とした雰囲気の美少女の元気いっぱいな挨拶で我に帰りました。
ごめんなさいって何のことでしょう?
お師匠様の仕打ちのことでしょうか?
と、混乱していると、
「ディーネです。」
と、氷のような印象を受ける青髪の美少女からの静かで最低限な挨拶がつづきます。
…なんかめっちゃ眼光鋭く睨まれてますが、早速私なにかやらかしましたかね?
と、急に不安になってきたところで、
「シルフィだよ!さっきは楽しかったね〜!」
個性的な猫の被り物をしているあどけない笑顔が素敵なこれまた美少女からの挨拶がつづきます。
さっきって何のことですかね?
子どもからすると、さっきの私の決死の出来事は楽しくみえるんですかね?
「……………ムウ。」
末っ子でしょうか!
恥ずかしがりながら、自己紹介するのがめっちゃ可愛い!!
まるで小動物!!
ムウちゃんの可愛いさに一気に私のボロボロだった心身は癒されましたよ!
……
って、
ミラ様や子どもたちの美しさや可愛いさに誤魔化される私ではありませんよ。
ちょっと危なかったけれども。
ミラ様。
マーリン様ほどではありませんが、巧妙に魔力を隠蔽されていますが、魔力の質・量ともに桁違いなものを感じますね。
きっと私が知らないだけで、さぞ高名な魔法使いなのでしょう。
そして、子どもたち。
半端ない魔力ですよね。
さっきの発言といい、
もしかして…
魔法の空中迷路を構築していたのは…
さっきの魔法の攻撃って…
それにずっと見ていたのは…
という考えがよぎったとき、
ふと視線を感じました。
そちらを向くと、
ミラ様が人差し指を口元にあてて、
微笑んでいました。
微笑んでいますが、なんだか怖いです。
そしてリアルタイムで、思考を読まれてそうです。
……
はい。
これ以上考えちゃいけないってことですね。
わかります。
エレナは良い子です。
考えるのをすっぱりやめましょう!!
ええ、私は何も気づいていませんよ!!
だから、許してください!ミラ様!!!
「ふふふ。我々はあなたを歓迎しますよ、エレナさん。」
どうやら私は許されたようです。
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