第13話 エレナ
お師匠様と話せば話すほど、いかに自分の視野が狭く、魔法の浅い部分しか理解していなかったかを思い知ります。
お師匠様に教えていただいた、
無属性魔法という存在さえ認めてしまえば、いままでの魔法理論で矛盾していると考えられていた点が解消されるだけでなく、いままでの魔法使いたちが思いつきもしなかったような魔法も実現が可能になることがわかりました。
これだけでも歴史に残る偉業。
私はおもわず興奮して取り乱してしまったのですが、世の中の魔法使いたちもきっと自分と同じ立場だとしたら同じくらいかもっと取り乱すことでしょう。
気でも狂ったのか?とか、またまた変なことを言って……と冷めた目で見られるくらい途方もないような突拍子もないことなのですが、逆にそういうものだったからこそ、皆からそんなものは無いと思われてきたものだったのではないでしょうか?
私も、お師匠様から気づきを与えていただけなければ、その存在を信じることはなかったでしょう。
それくらい夢物語のような雲をつかむような、そんなものなのです。
無属性魔法というものは!!
にもかかわらず、お師匠様はさも当たり前のように、おごらず、泰然としていらっしゃる。
魔法使い界隈では、優秀な方ほど性格がねじまがったり、常軌を逸しているようなク…ゲフンゲフン、失礼。変わった方が多いなか、
お師匠様は人間的にもできた方です。
(謙遜しすぎるところは、ちょっと変わっていますが、美徳の範疇でしょう!)
きっと、
お師匠様のもとで学び続ければさらなる高みへと登れるのだろう。
私はそう確信しました。
一生ついていきます!
お師匠様!!
……………
次の日、
お師匠様は王宮から忽然と消えてしまいました。
何故に?
昨日、お師匠様が、
「一度自宅に戻ろうとおもいます。」
とおっしゃっていましたので、
「新しく開発した移動手段でご自宅までどうですか?ついでに感想もお聞かせいただけたら嬉しいです。」
と事前に了承とったのに!!
確かに、この耳で、
「ありがとう。試してみるよ。」
という言葉を聞きましたよ!
なのになんで??
王様はいつものことだろう、転移魔法で先に帰ってしまったのでは?とはおっしゃっていましたが……
まさか!
試してみるよ、というのは、
私の力を、そして、新しい移動手段の力を、飛行船の力を試す、ということではないでしょうか?
そして、先に転移魔法で移動するから追いついてみせろ、ということなのでは?
ただ飛行船に乗って、感想が聞きたかっただけだったのですが、それでは甘いということなのでしょう。
……いいでしょう。
確かに甘かったことは認めましょう。
お師匠様の自宅まで、飛行船で急ぎ押しかけてやろうではないですか!!
お師匠様をあっと驚かせてみせますよ!
私だってやればできるんですから!!
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