第10話 マーリン(2)

さて、王宮の皆様にも一度帰る旨を伝え、出発の支度も済んだことであるし、自宅に戻るとするか。


先ほど魔法師団長のエレナさんに挨拶をしたところ、

新しく開発した長距離移動手段(プロトタイプ)を使ってみてほしい&感想がほしいとのこと。

「マーリン様には必要ないものかもしれませんが、これが完成した暁には王国の歴史が変わるんです!!」とのことらしい。


前半何のことかさっぱりわからないが、あの天才魔法使いのことだから、今回はその移動手段とやらを使ったら家に早く帰れるかもしれない。


早くミラや子どもたちに会いたいな…。

さてミラや子どもたちに何といったものか……。


あれやこれやと考え事をしながら、客室の扉を開けて廊下にでようとしたところ、


「あら、おかえりなさい、マーリン。」


そこには笑顔のミラがいた。


「おおおうわわわっ!!びっくりした。ミラ、なんでここに?」


なぜミラが王宮に?

もしかして王宮まで来ちゃった?


と一瞬思ったが周りの様子の違和感に気づく。


あれっ、もしかして……

孤児院にもどってる?

周りは完全に昔から暮らしている孤児院の部屋そのものであった。


後ろを振り返ると、

先ほど開けた王宮の客室の扉は静かに閉まり、淡い光とともに消えていった。


なんだこれ?


新しく開発した長距離移動手段って、

どこ〇もドア?


確かにこれは王国の歴史が変わる、というか、世界の歴史が変わる大発明じゃないか!


これはまさかのサプライズだった。


今度会ったときにはエレナを大絶賛しておこう。


それはさておき。


「ちょっとびっくりしちゃったけど、改めてただいま、ミラ。元気にしていたかい?」


改めてミラと向き合って言葉を交わそうとして、久しぶりに会ったミラにおもわず見惚れてしまった。


きらめくようなプラチナの髪に、透き通る白い肌。どこかはかなげでそれでいて強い使命を帯びたようなサファイア色の瞳。隠しきれない神々しいオーラをまとった、まるで女神のような女性、それが私の妻、ミラだ。


「ふふっ。もちろん元気よ。王都では大変だったみたいじゃない?」


「そうなんだよ。今回は賢者の称号だけもらうって話だったのに、気づいたらほかの不相応な肩書が増えてしまってね…。」


「まあ。立って話すのもなんだから、お茶でも飲みながら話さない?ゆっくり話を聞くわ。ちょうどお菓子を焼いたところなの。」


その後ゆっくりいろんな話をした。

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