お互いのスキル



亮、リナ、カイの三人は森を抜け、少し開けた場所に腰を下ろした。道中の疲れを癒すため、少し休憩をとることにしたのだ。三人は互いに顔を見合わせながら、旅の目的やこれからの進め方を話し合っていた。


「さて、まずはお前のスキルを確認しないとな」カイが言いながら、亮を見つめた。


「スキル?」亮は少し驚きながらも答える。「ああ、俺のは『パラレルワールド』ってスキルだ。異世界を行き来できる力だけど、どう使うかはまだ試行錯誤中だ」


リナは興味深そうに頷きながら、その詳細を尋ねた。「なるほど。異世界を行き来できるって、かなり強力なスキルね。どれくらいの距離を移動できるの?」


「距離は…まあ、近くの並行世界には一瞬で移動できるけど、遠くの世界に行こうとすると時間がかかる。無制限に使えるわけじゃないけど、戦闘中にうまく使えば有利になるかもしれないな」


カイが少し考え込むように言った。「面白いスキルだな。でも、俺のスキルもなかなかだぞ。俺は『竜の力』ってやつだ。力、速さ、耐久性、すべてにおいてかなり優れている。ま、特に物理的な強さに関してはな」


カイが言うと同時に、彼の体から微かに竜の鱗が浮き出し、力強さを感じさせる気配が漂った。リナはそれを見て、驚いた表情を浮かべた。


「すごいわね…竜の力を使いこなせるなんて、かなりの実力者ね。でも、私のスキルだって負けてないわよ」


リナはニヤリと笑いながら、ゆっくりと手を広げた。「私は『エレメンタル・マスター』。元素を操る力を持っているの。火、風、水、土…それぞれの元素を自由に使いこなせる。使い方次第で戦闘だけでなく、日常生活にも役立つわ」


彼女が言い終わると、リナの周囲に風が渦巻き、手のひらに小さな炎が灯った。それはまるで彼女が生まれながらにして自然と一体化しているかのような印象を与えた。


「元素を使いこなすって、かなりすごいな。まるで魔法のようだ」亮は感心しながら言った。


リナは少し照れくさそうに笑う。「まあ、魔法と言えば魔法だけど、私はそのエレメンタルを直接操るのが得意なの。戦闘ではかなりの威力を発揮できるけど、いかんせん気温や湿度に影響されるから、場所によっては使いづらいかも」


「なるほど、戦闘の中でその弱点を補えるといいな」亮がうなずきながら言うと、カイが口を開いた。


「それじゃあ、実際にお前たちの力を試してみようぜ。どうせなら、いまのうちにお互いのスキルを理解しておいたほうがいいだろ」


リナもその提案に賛成した。「そうね、実際に戦ってみることで、どこでお互いをサポートできるかが分かるわ」


亮は少し考えてから答える。「まあ、やってみてもいいけど、手加減はしろよな」


カイは笑いながら刀を抜き、「分かってる分かってる」と言った。リナは腕を伸ばし、指先から炎を灯しながら、楽しげに言った。「じゃあ、少し本気を出してみるわよ」


三人は小さな空き地に集まり、それぞれが自分のスキルを使いながら、戦闘の練習を始めた。亮は「パラレルワールド」を使い、並行世界から別の視点で戦況を見つつ、カイとリナの攻撃をかわす。カイは竜の力を使い、驚異的な速度と力で攻撃してくるが、亮は瞬時に別の並行世界に移動して避けたり、反撃を試みたりする。


リナは周囲の風を操りながら、炎の魔法でカイを攻撃し、カイが竜の力でそれを受け止める。彼女はさらに水と土を操り、様々な元素の攻撃を繰り出しながら、亮の動きを予測していく。


戦闘はしばらく続き、お互いの強さと弱点が明らかになった。亮は「パラレルワールド」を駆使し、カイとリナの攻撃をかわしながらも、リナの元素操作に少し手を焼くことが分かる。カイは予想以上に強力だが、リナの魔法にはやや弱点があることも見抜いた。


戦闘を終えた後、三人は肩を並べて息をついた。


「ふぅ…いい感じに戦えたな」カイが言い、笑顔を浮かべる。


「お互い、かなり強いわね」リナも満足そうに頷いた。


亮は少し息を整えながら、二人に向けて言った。「うん、みんな強いな。これなら、これから一緒に戦っていけると思う」


三人は互いに頷き合い、協力して進む道が見えてきたことを確信した。この出会いが、亮にとって新たな冒険の始まりとなるのだった。






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