乾いた餌を齧る音

概要

私、幸せ。こんなにも囲まれて、この子たちは私のもとに集まってくれる。私が居なくなったらどうするんだろう。まぁ私病気もしてないし、いいわ。あぁ、かわいい、かわいい。

餌をばらまくと待ちかねていたかのように猫が一斉に餌を食べに来た。

鳩に餌をまくババぁ。猫を散歩させるじじぃ。

私を求めてくれる誰かを待っている。

私が居なければ回らない世界であってほしい。

けれど、私はみんなを残して今日死んでしまいました。とても心残りです。あの子たちきっとお腹を空かしているわ。

猫はそれでも生きていく。まるで今までもそうだったかのように。

人間のしがらみに邪魔されながら。

愛は一方通行、相互なんていうのは幻想で、勝手に押し付けて勝手に受け取る。

隣の家から眺めていた、私なんて居なくてもいいと思っていた少女とお気に入りの猫とそれ以外の猫と。

人間のしがらみを気にもしない猫たちの物語。