2.食事
牢獄みたいなマンションに帰ると兄の生首がこちらを凝視していた。そりゃそうだ。私が持って帰ってきたものは食用カエルでもそこら辺を歩いている鳥でもない、正真正銘のニワトリの皮を取り除いて叩いて伸ばして揚げた大鶏排とパック詰めされた店の名物のその日ある適当な葉物野菜の炒飯だった。
部屋中に大鶏排に使った五香粉の香りと油の匂いが充満する。
問題は兄の生首は生首になってる時点でお察しだが、あらゆる暴力を受けて帰ってきたので顔は全体的に腫れ上がり、歯は全部折られていて口の中は血みどろだったし、口をゆすいでほしくて水を飲ませたら、口をゆすげはするが断面からぼたぼたと水が出てきて片付けが面倒だった。
顔面や首にタトゥーが入ってなかったら兄の生首とは思わずに外へ蹴り転がしただろう。
そんな感じなので兄の話している言葉は単語しかわからない。よく見たら舌も半分ないし。
熱いお茶を注ぎながら兄の生首を見ると口をパクパクしている。
何度が聞き返すと「食べたい」だけは分かったが消化器官が無いんだよな…と兄の顔を眺めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。